リチウムが高騰していると言うことだ。主要な産出国はオーストラリア、チリ、中国、ブラジル、アルゼンチンが上位に来る。このうち、中国での取引価格が発表されていた。2020年には1トン当たり5万中国元だったものが、2021年末には50万元を超え、2022年になっても少し落ち着いているものの50万元弱で推移している。1年で10倍になったということだ。これほど高騰するものはあまりない。
これは、世界各国で電気自動車の人気が高まっていることや、多くの国では近い将来ガソリンやディーゼル車の生産が禁止になることになっていることが影響している。
電気自動車は枯れた技術の集積で、重要な先端技術は、車載バッテリーだけだ。現在主流のバッテリーはリチウムイオン電池であるために、多くの企業がその素材のリチウムを買い漁っているからだ。電気自動車ではバッテリーの効率・軽量化が電気自動車の競争力に大きく影響する。
しかし、リチウムイオン電池は電解質の液体を使用しているために液漏れや発火の危険性がある。そのために全固体電池が今後の車載用のバッテリーの本命と考えられている。ここに、世界中の企業やスタートアアップが全力で取り組んでいるのが今の状況だ。
リチウムイオン電池に変わる全固体の効率の良いバッテリーを開発した企業が、世界の覇権を握ることが予想される。
小型で効率の良いバッテリーが開発され、車だけでなく、各家庭に整備されれば、太陽光発電は今以上に普及し、今進んでいる新たなエネルギー危機の解決になるだろう。家庭への普及が進めば、ソーラーパネルも、もっと低価格化が進み好循環が生まれることになる。
そうなれば、ロシアからの天然ガスの問題や原子力発電所の再稼働といった問題も解決することになる。一刻も早く天才が現れて、新型のバッテリーの開発されることを願っている。
しかしながら現実ではそのような事はすぐに起こらず、現行の技術の範囲内で、リチウムイオン電池に頼るために、リチウムの高騰が起こっているのだろう。