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肇興でも、他の村でも布は自分たちで作る物のようだ。糸を撚って布に織って、藍で染める。その藍色の衣類をみんなが着ている。ただ、肇興だけで見たのは、出来上がった藍色の布を木槌で丹念にたたいて、最後はピカピカの紫色の薄い布になる。家の前などで木槌でたたいているのをよく見かけた。
最初、この布で出来ているジャンプスーツのような服を着ている人を見たときは、ビニールの服を着ていると思うほどピカピカだった。その写真が見つからないが、この光る紫の布はお土産にも使われていて色々なものが売られている。
洞(トン)族に特徴的な鼓楼や風雨橋が無ければ、谷間の日本の村にも見えて、なぜか懐かしい感じがする。かつては日本にもこんな感じの村がたくさんあったのだろう。生活の利便性や新しい物への関心が、このような景観を破壊して、ついには日本ではこのような景色を見ることはあまり無くなってしまったのか。あるいは理由は別のところにあるのか。
この項続く