来たかった理由

by Shogo

目的地に到着。最近乗ったこともないような小さなプロペラ機だった。チェックイン後、街をぶらついて川のほとりのレストランで読みかけの本を読んでいた。10時まで明るいので9時過ぎまで字が読める。おかげで日本代表の歴史的な試合を見られなかった。こちらでは放送もないだろうが。

ここに来たかった理由を考えてみると、引き金は一昨年、ドレスデンに行ったとき乗った列車の終着駅だった。後から、ドレスデンとは山ひとつ隔てた場所だと知った。エルベ川は支流でこの街の川とつながっていることもその時知った。私の地図では東欧圏は地の果てで地理感が働かない。

列車の終点は引き金だが、理由はたくさんあるようだ。思いつくまま書くと、

■クーデルカ

好きな写真家のヨゼフ・クーデルカはチェコ人でプラハの春の時のソ連の侵攻の写真が有名。

■Hope dies last.

プラハの春の連想ではドプチェクの自伝は読んだことはないがタイトルが好きだ。「希望は死なず」と訳すのか。クーデルカの写真や映画などからこの時の出来事や背景を知るにつけ、この本を読まねばと思っている。この街の本屋なら英語版でも売っているだろうか。その後のビロード革命までつながる歴史を考えると興味がひかれる。ただし、ドプチェクはスロバキア人だから今なら隣の国の人だ。

■存在の耐えられない軽さ

また、プラハの春の連想。もう20年前の映画だが、プラハの春が舞台だ。

■万博のチェコスロバキア館

映像と実演を融合させたパーフォーマンスは子供だった自分にも驚きだった。あのようなものをその後も見たことはない。

■フレクサレット

最近買ったカメラ。チェコスロバキア時代のカメラ。チェコはもともと技術力に定評があり、この技術力を手に入れるためにナチスドイツはチェコを併合したそうだ。西側はこの時、チェコを見捨てナチスの横暴を許した。フレクサレットを作った光学会社はナチスのために戦争用のレンズなどを生産していたようだ。

このカメラがきっかけとなってチェコの歴史と文化について読んだりした。多分これが最近の大きなきっかけ。

カフカ、ミュシャやスメタナとかいろいろあるが、決め手になったのはフレクサレット。フレクサレットの故郷を見ようと思ったのが理由だろうか。

中古カメラ屋にも行ったが、フレクサレットが大量に売られているかと思いきや、片隅に数個ひっそると。後はニコンやキヤノンやミノルタだ。故郷でも忘れ去られる段階か。

フイルムカメラも持ってきたがフィルムはいくらでも買えるだろうと思ってきたが、なんと値段が高い。食品やビールなどは日本よりはずっと安い。コーヒーやビールがカフェで250円程度で飲める国で、モノクロのフィルムは1本700円もする。ヨーロッパのブランドでも、コダックでも日本で買うよりはずっと高い。この国でフィルムカメラを使う人はお金持ちのようだ。持ってきたフィルムを大事に使って帰ろう。それから、もう一台フレクサレットを検討か。安いのならビール10杯分だ。

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