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「Person of Interest」というテレビ番組をビデオに録画して時間のある時に見ている。The Thin Red Line
の ジェームズ・カヴィーゼルとLostのマイケル・エマーソンが出ている番組で、政府がテロ対策のためにすべての通信とか街頭などを監視しているという設定だ。天才ハッカーのマイケル・エマーソン扮するフィンチがこの監視システム「マシン」を作り、政府に1ドルで売った。政府は将来起こりうるテロへの備えとして事件になりそうな通信や個人の行動をモニターしているということになっている。
テロに関係ない情報を、政府は無関係として捨てているのだが、テロに関係なく被害者になってしまう人を救うためにフィンチは、予めマシンに準備しておいたシステムの裏口をつかって、テロには無関係として捨てられる情報を手に入れて、ジェームズ・カヴィーゼル扮するミスター・リースの協力を得て被害者になる人を救うために活動するということになっている。
この話がすごく現実感があるのは、アメリカ政府はすべての通信を傍受するエシュロン(Echelon)というシステム運用して、その担当をしているのはNSAということになっているからだ。政府は正式には公にしていないが、都市神話よりは確度の高い情報として一般には信じられている。NSAは、国家安全保障局 National Security Agencyだが、No Such Agencyの略と言われるほど一般的には知られていない組織だ。それが今回、エドワード・スノーデン氏の事件で彼が、NSAは「プリズム」というシステムを使って世界の電子メールなどの情報通信を監視しているということを明らかにした。プリズムはエシュロンと同じなのか別なのか分からないが、想像してきたように世界の通信などの監視を行っているのは事実だと証言している訳だ。
面白かったのは、MicrosoftとかGoogleのセキュリティバグが公表される前に、そういう会社はそのセキュリティバグを、一般よりは先にNSAに通知していたというのである。なので、Windowsとかアメリカのシステムを使っていれば、中国であろうとロシアであろうと日本であろうと、そのバグを使ってNSAはその国のシステムに侵入することも可能だったということだ。アメリカの会社のシステムがデファクトとして多くのシステムで使かわれているから、NSAにとって侵入できないシステムは少ないということになる。
Person of Interestの世界は、当然テレビだから何でも見ることができどんなシステムにも侵入できるという誇張されたものだろうが、近い将来はそれも現実になる。スノーデン氏の告発は、そんな世界がすでに始まっていると言っているのだ。この監視もののテレビや映画は面白いテーマだからたくさんある。この Person of Interestでは、主人公二人の造形と過去をフラッシュバックで見せて人物像を作り上げるのが、それも良くある手だが、面白いと思っている。
週末に録画で見たPerson of Interestのある回では、キリコの赤い塔が使われていた。キリコの作品では好きな作品の一つで印象的だった。フィンチのガールフレンドは画家でキリコの赤い塔が好きというシーンが出てくる。それでフィンチはネットを使って得た莫大な資産を持っているという設定で、この絵を手に入れてグッゲンハイム美術館に匿名で寄贈する。そこにガールフレンドを連れて行ってニューヨークのグッゲンハイム美術館で赤い塔を見る。前はグッゲンハイム美術館にはなかった気がするが、ウエブでみると今はグッゲンハイム美術館に現実に展示されているようだ。
キリコの絵は強いコントラスの影が印象的で、深い色の空と極端な遠近法と合わせて何か不安な雰囲気がある。こんな影の写真を撮りたいといつも思っているが、なかなか難しい。いくつかトライしたがキリコの世界には程遠い。昔の映画では、たとえば「去年マリエンバードで」とかでは、影を地面に描いて印象的な絵作りをしたらしいが、いっそ影を描いてしまおうか。
写真は、北京の建外SOHO
Person of Interestとキリコの「赤い塔」
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