デジタル・デトックス

by Shogo

村上春樹の短編集「回転木馬のデッドヒート」に「プールサイド」と言う短編小説がある。主人公は、35歳になって人生というプールをターンしてしまったように感じる。35歳になると、もはや若者でなく、持っていた可能性を全て捨てて、人生の道筋が見えてしまう悲しさだ。後は決められたコースをスタート地点まで戻っていくだけの寂しい人生を考えて主人公は涙する。

小説では70歳が人生の長さと考えられている。これは20代・30代にとっては、70年は永遠に近い長さの時間で、70歳は、とてつもない老人と思うからだろう。自分もそう思っていた。

村上春樹の小説は、処女作の「風の歌を聴け」を読んで以来、「ノルウェーの森」までは大ファンだった。長編小説を短編集も全て買って読んでいた。「回転木馬のデッドヒート」も、その中の1冊だ。当時まだ30歳前だった。35歳で人生をターンをすると言うのは、当時はなんとなくしか理解できてなかったように思う。

ゴールに近づく年齢になると、主人公の気持ちが、もっと分かるような気がする。人生は選択の連続である。選択の結果、今がある。毎日毎日選ばなかった選択肢が積み上がってゆく。常に最善の選択をしていると思っていても、今と違う道があったことも思い出す。

ゴールに近づくと残された時間はあまりない。35歳の男ではなく、もう一ストロークでプールの端にタッチする年齢だ。残された人生には、新しい可能性はなく、惰性で生きていくしかない。少なくともできるだけ有意義な生き方をしてみたいと思う。

長く生きてきたが、仕事や怠惰や財力のために、やりたくても、やらなかったことがたくさんある。本や映画も、読んだり、観たりすべき作品がまだまだたくさん残されている。村上春樹もそうだ。「ノルウェーの森」以降、全く読まなくなったのは、初期の三部作のような作品とは違うと思ったこともあるが、仕事が忙しくて本を読む時間がなくなったこともある。だが、それよりも、アメリカや世界の文学やミステリー小説などに興味が移ったことにある。村上春樹の最近の小説も毛嫌いしないで読んでみるべきだろう。

それは村上春樹だけに限らない。漱石や鴎外から始まって、日本文学の有名な作品を全て読んだわけでもない。それは日本文学に限らない。世界の有名な作品で、まだ読んでいないものもたくさんある。あるいは過去に読んで忘れてしまった作品もたくさんあり、もう一度読むべきだろう。

小説だけに限らない。有名な映画でまだ見ていないものをたくさんある。特に1960年代・70年代の映画だ。リストアップして系統立て観るべきかと考えている。

本や映画だけに留まらない。行ってみたい場所が、日本国内や海外にもたくさんある。リストアップして、できるうちにやってみたり、行ってみるべきだ。

Bucket listと言うやつだ。英語の表現のKick the bucketは死ぬと言う意味だ。死ぬ前にやってみたいことのリストだ。それを作り始めよう。映画「Bucket List」はその映画だ。ジャック・ニコルソン ·とモーガン・フリーマンが主演した、ロブ・ライナー監督の作品だ。映画では主人公の2人はBucket listをつぶしてゆく。

そのリストをつぶしていくためには、以前より時間があると言っても残された寿命が、もはや長いわけでもない。有効な時間の使い方が必要だ。手始めに昨年から始めたのはテレビを見ないこと、SNSで時間をあまり使わないこと、インターネットを暇つぶしに使わないことだ。手持ち無沙汰のときには、ついついスマホを見てしまう。これをなるべく止めて時間があるときは、スマホのKindleを読むようにしている。

デジタル・デトックスと言う言葉がある。デジタルを一切使わない期間を設けることだ。これは、なかなか難しい。だから、できるだけ暇つぶしのデジタルの使い方をやめて、有用なデジタルの使い方をすべきだと思い始めている。と言いながら、なかなかできない。

デジタル・デトックスで有限の時間の効率化を使い方をしていくべきだと思いながら、年末に時間があって、Netflixで最初に表示されたお勧めのミニシリーズを観てしまった。観なくてもいいようなテレビシリーズだ。今年は、Netflixで、どうでもいいようなテレビシリーズを見るのをやめて、Disney+でスター・ウォーズ関連の過去の作品の見直しと新作のTVシリーズを集中してと考えている。そのためにデジタル・デトックス以外にスター・ウォーズ関連以外のテレビシリーズは観ないことにする。その時間は、読書と映画にあてる。これが、今年の目標だ。読むべき本と映画のリストをつくるところから始めよう。Today is the first day of the rest of my life.

ともかく、ゴールは近づいており、プールの端がもうすぐそこだ。

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