映画シリーズ興行成績ランキング

by Shogo

映画情報サイトのThe Numbersで面白い記事を見つけた。映画のシリーズの興行成績ランキングだ。

この情報を見ずに、映画シリーズの興行ランキングを聞かれたら、スター・ウォーズのシリーズかジェームス・ボンドのシリーズ、あるいはハリーポッターのシリーズと答えていただろう。しかしその答えは「アイアンマン」、「アベンジャーズ」などのマーベルのシリーズだった。しかも2位を大きく引き離した、圧倒的な1位だ。個人的には全く、マーベルのシリーズを見ていないので、このシリーズの興行成績の高さを認識していなかった。

マーベルのシリーズは18年間にわたって44作品もあって、興行成績は273億ドル。2 位は、スター・ウォーズのシリーズで、50年間かけて15作品、興行成績は103億ドル。マーベルのシリーズの3分の1近くだ。

3位は、ハリーポッターのシリーズで21年かけて13作品。興行成績は95億ドル。これに続くのが、4位のスパイダーマンのシリーズ22年間で12作品。興行成績は82億ドル。

それで、やっと5位にジェームス・ボンドのシリーズとなる。58年かけて27作品もあるにもかかわらず、興行成績は78億ドルにしかならない。

このThe Numbersのランキングの金額は、インフレ調整後の数字なので、歴史的な金銭価値の問題は無い。だから、本当に「アベンジャーズ」、「アイアンマン」、「ブラックパンサー」などのマーベルの作品は大金を稼いでいるようだ。

スター・ウォーズのシリーズは、ジョージ・ルーカスが会社をディズニーに売ったために大きなシリーズに成長した。ルーカスは当初9作のシリーズを構想して、エピソード4から制作を開始し、エピソード6で制作を終えた。彼がディズニーに会社を売却しなければ、その後の作品が作られることはなかった。ルーカスの構想の話は有名だったが、誰もが3作品のシリーズと思っていた。

それが、今やスピンオフも含めて15作品。ディズニーは、今後も、スターウォーズの世界観の中で、新たな作品を作り続けるので場合によってはマーベルのシリーズを抜く日が来るかもしれない。

歴史の浅いマーベルのシリーズが、上位に来る理由は、まず、マーベルのシリーズは44作品もあることだ。これはマーベル・コミックスの世界に登場するスーパーヒーローの数が多く、容易にそのスーパーヒーローを主人公にした作品が作りやすい事があるのだと思われる。マーベルのシリーズは44作品もあり、27作品のジェーム・スボンド、15作品のスター・ウォーズよりはるかに多い。当然合計の興行成績が高くなって当たり前である。

それ以外の理由を考えてみると、個々の作品の脚本や制作が良いということが前提だが、それに加えて、グローバル化によりハリウッド的文化やアメリカ文化が世界の隅々まで受け入れられて、世界がハリウッド映画を受け入れる大きな市場となったと言う仮説が考えられる。冷戦の終了やインターネットの登場による文化的な世界の均質化の結果ということだ。

だから、21世紀の新しいマーベルのシリーズは、その恩恵を全面的に受けているが、古いボンド・シリーズやスターウォーズは、その恩恵を全作品で受けている訳ではない。ボンドシリーズは、イギリスの制作でハリウッド作品ではないが、ハリウッド的な作品とする。

次の理由として、世界の映画人口の増加も考えられる。

レコード会社の仕事をしていた時のことを思い出した。そのレコード会社は60年代70年代に、ビートルズのレコードを日本で販売していた。だから、大儲けだったのだと思って、その会社の人に聞いてみると実はそうでもなかったと言うことがわかった。それで、知ったのは、60年代70年代にはステレオの普及があまり進んでいなくて、そもそもレコードを買う人の人口が少なかったと言うことだ。ビートルズがいくら大人気でも、レコードを買う人口が限られていた。それが大儲けをしなかった理由だった。

それと同じように、新しく始まったマーベルのシリーズが高い興行成績を上げるのは、21世紀になって世界が豊かになり、多くの国に映画館と、そこに行くだけの余裕のある豊かな人口が生まれたということの結果も理由の一つとして考えられる。感覚的な想像なので間違っているかもしれない。世界の映画人口の統計を探してみたが見つからなかった。

それで、別の評価軸で、上位5シリーズの1作品あたりの興行成績を計算してみた。ハリー・ポッターシリーズが7.3億ドルで1位。 2位はスター・ウォーズシリーズの6.9億ドル。3位は、スパイダーマンシリーズの6.8億ドル。そして、マーベルが6.2億ドルで4位。5位にジェームスボンドシリーズの2.8億円となる。

ここから何か見えるわけではないが、やはりボンドのシリーズが古いために興行成績が低いと言う可能性はある。その理由として、2021年に公開されたジェームズボンドシリーズの最新作No Time To Dieの世界興行成績は、7.75億ドルで、他のシリーズの平均値と比べても遜色はない。

映画の興行成績は作品ごとに大きく違ってくるために、古い時代の作品と新しい時代の作品を比べても意味がないのかもしれない。だが、21世紀の映画市場が変わっていると言うことの参考資料位にはあるのかもしれない。

様々な想像をして見たが、マーベルのシリーズの興行成績の高さの理由は、単純に面白いということなのかもしれない。まだ、見たことがないので見てみる必要はありそうだ。

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