ガルシア・マルケスの未発表小説

by Shogo

ガブリエル・ガルシア・マルケスの未発表の小説『Until August』が、彼の死後、遺言に反して出版されたそうだ。彼が認知症と戦いながら完成させようとした最後の作品で、本人は処分することを望んで遺言にも残したそうだ。しかし、それに反して、息子たちによってスペイン語と英語で出版されたという。レビューを読むと、この中編小説は内容が一定せず、登場人物に関する繰り返しが見られるため、最終的な編集が行われていないようだ。それでも、読んでみたいと思っている。

ガルシア・マルケスは、大学生の頃に話題になって、まず「百年の孤独」を読んだ。記憶では大江健三郎が推薦していたので読んだ気がする。「百年の孤独」にあまりにも衝撃を受けたので他の作品も読み始めた。

マルケスは、コロンビア出身の作家で、小説には南米の風土が色濃く反映されている。2014年に亡くなっているので、すでに10年前だ。なくなったニュースを覚えているが早いものだ。

最初に読んだ「百年の孤独」は、代表作で、「魔術的リアリズム」と評される、彼の語り口、ストリーの展開が色濃く反映されている。小説は、主人公一家の家の年代記で、南米の植民地時代から20世紀までの歴史が織り込まれている。この作品の特徴は、「魔術的リアリズム」と言われる、現実と幻想が交錯する独特の世界が展開される。そこでは、死んだキャラクターや出来事が繰り返し現れることで、一家の年代記に仮託して、時間と歴史の繰り返しを表現している。

「コレラの時代の愛」も代表作だが、個人的には印象は薄い。若かったからラブストリーに興味がなかったからということと、「百年の孤独」のような不思議な世界を期待していたからかもしれない。今また読んでみるべきかもしれない。

それに反して、「予告された殺人の記録」は、社会的・政治的なテーマを背景にした作品のために、「百年の孤独」と同じようにインパクトを感じた記憶がある。殺人事件の前日と事件を描いており、社会の不条理や個人と社会の関係性についての強い印象が残っている。

彼の「魔術的リアリズム」は、現実世界に魔法やファンタジーの要素が織り交ぜられる文学ジャンルだが、その時代には似たような小説はなかった。ファンタジー小説はあったが、魔法の世界と現実の世界が融合させて、却って現実のリアリズムを強調するような効果があった。社会的な問題を扱いながらも、ファンタジー的な要素を取り入れることで、社会的な問題が強調される。このような手法は、その後、多くの作家に影響を与えている。村上春樹の初期の三部作にも、同様の手法が見られる。それが、マルケスの影響なのか、彼独自のものかは知らない。

今は時間がないが、またマルエスを読み返したくなった。

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