悪玉コレステロール、LEDは冠状動脈性心疾患の主要な原因であることを知られている。今回発表された研究は、それが、累積してゆく効果があるということのようだ。つまり長く悪玉コレステロールが高い状態が続くと、動脈硬化なのがどんどん悪化していく。
動脈硬化が原因で起こる冠状動脈性心疾患は、日本では死亡原因の2位、アメリカでは1位である。これは血管内にプラークが溜まってくることによって引き起こされる。プラークが溜まってきても何の症状も感じないが、ある日突然胸の痛みや心臓発作を引き起こす。そういう意味で症状を感じなくても、動脈硬化は恐ろしい結果をもたらす。
JAMA Cardiologyで、今回発表された研究は、1万8000人以上の人のLDLレベルを,16年間にわたってモニターし、健康とLDLレベルの関係を調べたものだ。この研究によれば、若くても10年でもLDLレベルの高い状態が、長く続くと冠状動脈性心臓病の可能性が高くなることを発見した。LDLレベルの低い人と比べるとそのリスクは57%も高い。
そして、脳卒中や心不全に関しては、LDLレベルが高くても影響がないと言う事も今回分かった。
アメリカでは、40歳以下の人では、LDLレベルが190以上の人が治療の対象になる。しかし今回の調査では、それよりも低いレベルでも心臓病の可能性が高まると言うことがわかった。アメリカでは、LDLレベルは100以下が標準とされているが、それに近い数字であってもリスクはあるようだ。この数値は、日本ではやや高く設定されているようで、119以下や139以下というようにばらつきがある。
今回の研究では、解剖も行っているようで、若ければ、10代や20代でも冠状動脈の硬化が発見されるケースもあると言う。若い時からLDLのレベルが高いと、それだけ長く冠状動脈は影響受けるため、できるだけ早くLDLレベルを低くする必要がある。
アメリカの標準の100以下も、日本の標準の119以下や137以下を、長年にわたって超えてきている。ということは、かなりの確率で累積効果で、冠状動脈の硬化が考えられる。
コロナ禍がもたらした影響は様々あるが、会食が減ったことが1つの良い点だ。その結果多分LDLコレステロールレベルも、今年の初めには少し下がった。それでも、アメリカや日本の推奨水準を超えているので、もう少し下げる取り組みが必要そうだ。