コロナ禍以前より健康意識の高まりのためにスポーツに取り組む人が増えている。男女全体で週1日以上運動する人の率は、2018年で55%に上る。この数字は、コロナ禍の昨年、今年と増えているのではと想像する。自宅にいて運動不足になりがちなので、積極的に運動するようになっているのではと思うからだ。
2016年に内閣府が公表した「日本再興戦略2016」によれば、観光立国などとともにスポーツも重要な成長分野に位置づけられている。2012年の時点で5.5兆円だったスポーツ関連市場を2025年までに、15兆円まで拡大させることが目標として提示されていた。この中で、スポーツ関連市場として定義されていたのは、スポーツ用品、IoT活用、周辺産業、プロスポーツ、アマチュアスポーツ、スタジアム・アリーナの6つの領域だ。
この15兆円のうちプロスポーツの領域は、金額は少ないもののスポーツの普及と言う面では重要だ。多くの若者はプロのスポーツがきっかけになるケースは多い。中でも観客動員数で見てみると、プロ野球とJリーグの人気が高い。ある意味、プロリーグのビジネスとしては、伸び代が小さいかもしれない。しかし、これ以外にも、独立リーグ野球とサッカーの下位リーグの様々なチームが活動を続けている。特にサッカーでは、勝ち残ればJリーグ加入も夢ではないため数多くのチームを活動している。ここの活性化は、伸び代が大きいかもしれない。
日経新聞の記事によると、このスポーツ市場に、スポーツチームの支援を目的として参入するのはパナソニックだ。パナソニックはパナソニックスポーツを設立して、パナソニック傘下のチーム運営を行うとともに、そのノウハウの外販を行う。自らのチーム運営で学んだノウハウで、他のスポーツチームへの運営支援を行う事業だ。つまりプロスポーツチームを対象としたコンサルティング事業だ。
パナソニックは、傘下に野球、ラグビー、バレーボール、アメリカンフットボール、陸上競技のチームの運営を行っている。この運営ノウハウやパナソニックの本業の電気製品販売におけるマーケティング企画・実施能力をスポーツの分野で生かすコンサル業ということのなのだろう。
パナソニックスポーツは、設立前から、この事業を開始しているようだ。2018年からは、かつての関連会社のガンバ大阪の事業支援を行い、すでに入場者数が増加を始めたという結果も出ているという。
従来は、このような事業は。広告会社やスポーツマーケティング会社が行っていた。しかし実際に事業を行い、様々な問題を解決してきた実績のあるパナソニックのようなスポーツチーム所有会社が、そのノウハウを提供する事は意味があるのかもしれない。
15兆円の市場規模を目指すと言う意味でも、このような事業領域が活性化し、その結果としてプロスポーツの観客動員が拡大することが望ましい。
問題は、ノウハウの外販というのは意外と難しいのではないかということだ。会社には特殊事情や企業文化があり、その中で行ってきたことを普遍化して、サービスに展開して行くことは一般的には簡単ではないからだ。