広島で驚く事は、広島カープが、まるで天気の話題のように、会話に頻繁に出てくることだ。これは他の地域ではあまりないことだ。それだけ広島カープが県民に愛されていると言う事は実感できる。
カープのホームでの試合はNHK、中国放送、広島ホームテレビ、テレビ新広島の全局で放送される。昨夜の会合の相手の広島のあるテレビ局の幹部から聞いた話では、この放送権は均等には各局に分けられていないと言う。それはカープによる政策ではなく、各テレビ局の編成上の都合で調整された結果らしい。地方局は、東京のキー局とのあいだでネット契約があり、その編成を変えられるケースと変えられないケースがある。しかし、広島の各テレビ局は最大限の努力をしてカープのホームでの試合の中継を収容しているようだ。
広島のテレビ局は、カープの試合を放送する日には6時台のニュースを休止して、その時間から野球中継を開始する。また終了時間も、9時台の番組を休止して10時まで放送するのは当たり前のようだ。このあたり、試合の途中で放送が終了してしまう他の地域のテレビ局とは対応が全く違う。
だが、それはテレビ局がカープが好きだと言うよりも、県民に愛されていると言うからだ。視聴率は、20%当たり前で、30%よっては40%もあり得る。関東地区でプロ野球中継が視聴率が10%を取れない状況とはまるで違う。大阪では阪神が、福岡ではソフトバンクが人気が高く、東京では巨人やヤクルトが人気があると言うのは当たり前だ。だが、ヤクルトが今年これだけ強くても、視聴率が高くなったと言う話を聞いたことがない。現在のプロ野球の視聴率を考えると、早晩、地上波放送からプロ野球が消えるのは間違いない。だが、広島だけは例外のようだ。
では広島に他のものがないのかと言えば、サンフレッチェはJ1の上位を常にキープする人気チームだし、Bリーグでもドラゴンフライズが活躍している。だがそれでも広島カープが圧倒的に人気があるのはなぜなのだろうか
親会社を持たない市民球団として発足したことがやはり大きな影響があるのだろうか。だが現在では、マツダが3分の1の株式を保有する筆頭株主であり、マツダ創業家が過半数以上の株式を所有しており、市民球団ではない。それでも、ソフトバンクやヤクルトのように特定の企業名を前面に出してない市民球団のイメージを残している。その意味では略称で呼ぶ際に企業名ではなく、地域名の広島となっているのはカープだけだ。そのようなことも、県民の愛着の原因なのかもしれない。