パンダの6本目の指

by Shogo

北京にいた頃に、四川省で大地震があり、成都のパンダ繁殖センターのパンダが大量に北京動物園に避難してきた。それを見るためにたくさんの人が、北京動物園に集まった。私も2度ほど行ってパンダを見た。一度に10頭ほどのパンダを見たのは、この時だけだ。

行ったことはないが、和歌山のアドベンチャーワールドには7頭のパンダがいるそうだ。だが、このところ和歌山によく帰るので、パンダの形をした特急くろしおに、よく乗っている。それで最近はパンダと言えば和歌山のイメージがついてきた。

パンダの6本目の指と言うタイトルに惹かれて、記事を読んだ。パンダは竹を食べるために、6本目の偽の親指があると言う。この指のおかげで竹をしっかりつかんで食べることができているようだ。この偽親指は実際には指ではなく手首の骨が伸びて指のように使えるだけだ。

記事によると中国の科学者は、この指がいつ生まれたのかを研究してきたが、最近まではっきりしていなかった。それはパンダの骨の化石が15万年前のまでのものしかなく、それより古い時代に、この偽親指があったかどうかわからなかった。しかし2015年になっていて600万年前から700万年前にかけて生息していたパンダの祖先の1つであるアイルラクロスの化石が発見された。このアイルラクロスにも、偽親指があり、しかもそれは現在のパンダよりも大きかった。だが、その骨はまっすぐで、現在のパンダの偽親指は内側にフックのように曲がっており、現在のパンダの握力ははるかに強いと想像されると言う。

そこで科学者の新しい疑問は、アイルラクロスに既にあった偽親指がどうして、本当の親指に進化しなかったかと言うことだ。

竹ばかり1日中食べているパンダにとって竹を掴む事は生存に重要なことだ。だから偽親指が進化して、より掴みやすい本当の指にならなかったのか。

記事によると、今回発表された論文では、パンダは寝転がっている時以外は4本足で歩くために、偽親指が進化すると歩きづらいからと結論つけている。前足の6本目の指が大きくなると、踏みつけるために痛みを生じる問題を考慮して、そのトレードオフが今の未発達の骨の偽親指と言う事のようだ。

脊椎動物は両生類から発達したため、そのヒレが進化よって、偶然5本指の形態が生まれたとどこかで読んだ。つまり5本指には何の理由もないと理解している。これも想像では、2つの考え方がある、偶然生まれた5本指が設計図としてそのまま多くの動物にうけつがれたという説と、最初は指の数が違う生物がたくさん生まれ、5本指の動物が進化の過程で生き残り、現在生きている動物の祖先となったという説だ。

これについては、5本指の動物は、他の指の数の動物より、指が少ない数の動物を除けば圧倒的に有利ではないために、5本指だけが生き残るとは考え難い。だから、たまたま5本指がの方が説得力がある。

動物は進化の過程で、指の形態を変えて来た。鹿や牛の指は2本で、馬は1本しかない。それは4本足で移動する際に、たくさん指があると歩きづらいので指を退化させていると考えられる。

そのように考えると、1日中、竹を食べているパンダがどうして偽親指を本当の親指に進化させなかったのか疑問が残る。あの体型で、捕食動物に襲われた時に素早いスピードで逃げるとも考えられない。それよりも1日中、竹を食べ続けられるように適した指のほうがいいような気もする。そもそも、本来肉食動物のパンダが、竹を食べるようになったのは、捕食動物から逃れて、竹林の中に逃げ込んで、他の動物が食べない竹を食べるようになったからだ。

竹はカロリーが低く、しかもパンダは草食動物のように植物繊維を消化できないために、竹を大量に食べ続ける必要がある。竹を食べやすいように、親指を進化させていても良さそうなものだがそうはなっていない。なぜなのだろうか。中国の学者が言うように、やはり移動のためか。

個人的には、手の指は必要だが、足の指は4本で良いような気がする。それは特に最近そうなのだが、足の小指を家具の端にぶつけて痛い思いをすることが多くなったからだ。

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