夕方いつもより少し早目に会社を出て銀座ニコンサロンに向かう。この数日とても暑くて日が陰っても外は熱風が吹くようだった。
銀座ニコンサロンでは、佐野 久里子さんの写真展が行われている。実はすでに見に行っていたのだが、昨夜はパーティに出るためにいったのだった。会場に着くと佐野さんはもちろん知った顔ですでに一杯だった。
佐野さんの写真はローライフレックスで撮ったスクエアのモノクロ写真。黒が美しいプリントで何度見ても飽きないし、見ていれば見ているほどいろいろなものが見えてくる。アナログの写真のすばらしさの見本のようなものだ。
撮っている対象も日常的な景色だったり、何度見ても何が写っているか分からないものだが、それがことさらイメージをかきたてられる気がしてくる。要はよくあるイメージの消費でない、何か独創的なものということなのだろう。特に男だから女だからと区別したくないが、女性の撮る写真には独特の視点があって自分には絶対に真似のできないものだ。生まれ持った感性の問題だから、男だからとかでなく、自分にはそのセンスがないということなのかもしれない。先日見に行った国立近代美術館の「写真の現在」という展示よりはよっぽど質が高いと言えると思う。
帰りがけに考えていたのだが、あの展示は写真についての写真ということなのだと思う。フィルム写真というメディアを使って、自分なら何ができるかということ、つまり作者が作者であることを証明するということでもあると思うが、それを表現しているような気がしてきた。ほろ酔いの地下鉄のなかで何かそんなことを考えてわかった気がしたが、朝になったらまたよくわからなくなった。いつものことでもあるけれど。
2週間の会期だそうなので、もう一度はいけそうだ。
銀座ニコンサロン
佐野 久里子写真展 「moiré -モアレ-」
8/15 (水)
~8/28 (火) 10:30~18:30