コシナの「ノクトン50mm f1.1」を手に入れたのは、ノクチルックス第2世代を手に入れてから随分経ってからだ。ノクチルックス第2世代は1970年のレンズで、その柔らかい画と深みのある映画を見るような色調が気に入っていたが、コシナの作る現代的なレンズで、f1.1が作る世界に興味があった。だが、実際は購入した際に数枚撮っただけで防湿庫にしまっていた。このところ、たまにライカを持ち出すときでも、小さくて軽いSumilux50mm f1.4がメインのレンズになっていた。写真を撮るということだけでは楽なのが良いに決まっている。
コロナ禍の蟄居で掃除のついでに防湿庫の整理をした。それで長らく使っていなかったNOKTONを朝の散歩に持って出た。このところiPhoneしか持参していないから大きな決断だ、特にこの暑さの中では。
NOKTON 50mm F1.1もSumilux50mm よりは随分重い。帰って調べたところ、レンズの重さは428gだからSumilux50mmとは比べられないが、Noctilux 50mm/f1.0の580gに比べれば遥かに軽い。しかし30%ほども軽いからっと言って楽というほどでもない。口径はどちらも58mm。それにしても朝の散歩に重いレンズを持って、NDフィルターまで付けて写真を撮るというのも写真の冒涜のような気もしてくる。白岡順さんが聞いたら怒られそうだ。本来写真はそんなことではないという声が聞こえてきそうだ。
撮ってきた写真を見てみると、開放でもピントがあることはきちんと写っているし、ボケているところは完全に溶けている。Noctiluxと比べると全体的に色味は現代的。Noctiluxはなんとなくネガカラーのフィルムで撮っている感じがあるが、NOKTONは完全にデジタル。ボケ具合は、被写体や距離にもよるがやや騒がしいか。
このレンズを使うのは、夜明けか薄暮から夜にかけてがふさわしいのかもしれない。もう少し、色々な状況で使ってみないと良さが分からない。
すでに2019年に販売終了になってしまっているようだから中古でしか手に入らないが、。Noctiluxの10分の1の価格で手に入るということを考えると楽しいレンズかもしれない。そもそもそういう理由で。Noctiluxの後から手に入れたのだから、涼しくなったらもう少し使ってみようと思っている。他のレンズもだが・・・写真は携帯ではなく、ちゃんとカメラで撮らないとね。