久しぶりにマイクル・コナリー。一冊はプラハ旅行中、もう一冊は戻ってから読んだ。結論からいうとハリー・ボッシュのシリーズ最新作はあまりにも荒唐無稽、ご都合主義を最新テクノロジーでごまかしているが、テレビの科学捜査ものと同じで、そこまでできないだろうと感じてしまうと、もう乗れない。しかも、終盤でシリーズの重要人物に事件が起こり、これは予期しなかったから驚いた。とは言っても、好きなシリーズの最新作。楽しく読んだ。北京で読んだ前作、The Brass Verdictで急接近した異母兄弟のMickey Hallerや、この後で読んだThe scarecrowの主役、Jack MacEvoyも絡んで、ファンサービスたっぷり。
今回の事件と 異母兄弟、Mickey Hallerとの関係が孤独なハリー・ボッシュにどんな影響を与え、作者はどんな思いと事件にハリーを導くのか非常に楽しみ。今年の10月に予定されているハリー・ボッシュの次回作The reversalを早く読みたい。Nine Dragonsの後のハリーはどんな生活をおくるのだろうか。
ちなみに今回のNine Dragonsとは香港の九龍地区のこと。舞台が、LAから香港に飛ぶ。と言ってもわずか一日しか滞在しないのでほとんど香港の描写は登場しない。登場する中国語の英語表記が私の理解と違っているのは広東語のせいだろうか。
Micheal Connellyを二冊続けて読んだが、こちらの方がずっと面白かった。The Poet以来、Jack MacEvoyがRacheal Wallingと組んで連続殺人鬼を追う。こちらもネット技術が出てきてポイントとなるが、技術的にも現実的にも納得できて違和感を感じなかった。それよりも、不満が少しあるNine Dragonsと比べて、いつものような速いテンポのストーリー展開が楽しい。Jack MacEvoyの人生にも今回の作品で転機が訪れる。
チャンドラーの後継者とも目されるMicheal Connellyだが、チャンドラーに比べるとやや軽く感じられる。それは資質もあるが時代も影響していると思う。それでもマイクル・コナリーの創りだしたハリーの出自、キャリア、正義感、音楽の趣味などから作られる雰囲気や、ひとり自宅でビールを飲む際の独白に共感する。
彼のシリーズはメインのハリー・ボッシュのシリーズとそれ以外のハリーが登場しないシリーズがあるが、特定の事件への言及があったり登場人物が交錯して相互出演したりするので、 Micheal Connellyが発表した順にシリーズとは関係なく読まれることをお勧めする、なんてね。でも暇つぶしには面白い探偵小説です。