East of Hounslow

by Shogo

飛行機の中で、最近読んでいたEast of Hounslowを読み終えた。移動中の時と寝る前に少し英語でミステリーを読んでいる。英語で読むのは、もうずいぶん続いている英語の勉強法の1つだ。ミステリーなら話が面白いので無理してでも読むからだ。

読む本は、新聞や話題になっているベストセラーから選んでいる。また「このミステリーがすごい」の海外版からも選ぶことも多い。East of Hounslowは、「このミステリーがすごい」で何位かに入っていたからだ。「このミステリーがすごい」から選ぶ際には、簡単なあらすじを読んで決めている。East of Hounslowを選んだのは、あらすじではなく、その地名に馴染みがあったからだ。

2015年のラグビーワールドカップ・イングランド大会の際に、ラグビーの聖地、トゥイッケナム・スタジアムで行われた何試合かを見に行った。どの試合だったか忘れたが、1人で行った時に、新しい方法で市内まで帰ることを考えた。それまでは、市内までの無料バスに乗るか、最寄りのトゥイッケナム駅から電車に乗るか、隣のリッチモンド駅まで歩いて電車に乗る方法を試していた。

別の方法と考えて地図を見ると、トゥイッケナム・スタジアムから北に歩くとリッチモンドよりも近くにハウンズロウ・イーストと言う駅があった。この路線は、トゥイッケナム駅やリッチモンド駅を通る郊外電車ではなく、地下鉄ピカデリー線の駅だった。郊外電車のようにウオータルー駅で乗り換えなくても、そのまま市内に帰れるだろうと考えた。ものを知らないというのは怖いものだ。誰かに聞いたら、決して誰も勧めなかっただろう。

リッチモンドまで行くように1時間も歩かないだろうと考えて試合終了後に、北に向かって歩き始めた。リッチモンドに試合終了後に歩くように人の流れについていけば、ハウンズロウ・イーストの駅に着くと思っていた。しかし10分もしないうちに歩いている人は誰もいなくなった。そこまで来て引き返すのも気分が悪いので1人でもハウンズロウ・イーストの駅を目指して歩き続けた。幸いGoogle マップがあるので道に迷う事は無い。

しかし、その辺は何もないところに所々家が立っているような寂しい場所で、車も全く通らない。明らかに人が歩くような場所でなかった。しかも、深夜である。

寂しい郊外を1人で歩きながら、かなり後悔していた。イギリスだからそのような行動に出たが、アメリカでは決して同じようなことをしなかっただろう。

駅に近づくにつれて、ロンドンの下町っぽい雰囲気が出てきた。あまり高級とは言えないような店も多少の立ち並ぶ駅周辺エリアだとは言え、もう深夜なので歩いている人もいない。寂れた街の雰囲気に気味悪さを感じながら、ハウンズロウ・イーストの駅にたどり着く。駅にも誰もいない。しばらく待ってようやく電車が来て市内に帰った。かなり、緊張した体験だった。

East of Hounslowは、この地域に住むムスリムの青年の話だ。ロンドンの西のこの地域には様々な人種が住むエリアのようだ。人種や宗教に関する様々な出来事が起こっていることが、小説からもわかる。そこで、主人公は、Pakiの末端のドラックディーラーとして生活している。一人称の語り口から、テロリストでもなければ悪人でもない、ある程度は真っ当な青年ということは分かる。だが、巻き込まれ型のストーリーで事件の中心人物になってゆく。

小説について言うと、ミステリーとして考えると、これはハズレだった。「このミステリーがすごい」で紹介されていた割には、話の展開があまりにも大雑把で偶然の要素が多すぎる。あまりにもご都合主義なので驚くほどだ。しかもミステリーと言うほどのひねりもなく、予想通りに話が展開していく。まるでアメリカのテレビドラマを見ているような感じだ。

良かったのは、イスラム教徒の観点から様々な問題に触れ、宗教や中東で起こっていることについての見方が示される事だ。普段はアメリカの観点から問題をとらえる情報に接するために、偏っていることを改めて気づかせてくれた。また、イスラム教に対する偏見も多少緩和されたかもしれない。

ストーリーはいくつかの伏線を回収しないまま突然終わり、Book2に続くになっている。読むと、主人公のジェイ・カシムがMI5のエージェントとして、巻き込まれ型で活躍する三部作の第一作のようだ。続きを読みたいような気もするが、とりあえず既に何冊かKindleにミステリーが入っているのでそれを読み終えてから考える。ツァイガルニク効果で、一度ハマると抜け出せないから、ミステリー度では点数は低くても、読んでしまいそうだ。

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