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多依樹の続き。太陽が昇りきると団体客や多くのカメラマンは姿を消し始めた。次の撮影場所などに向かうのだろう。他に当ても無い私は空いた椅子に座ってしばらく谷を見ていた。
約束の時間まで時間はたっぷりあるので展望台の人を写真を撮ったり、それから、また多依樹の村に行ったりした。その後展望台に戻ると気温が下がり始めたのを感じた。朝早い時間の雲海は晴れていたが、太陽が上がるとともに谷の方からまた雲海が近づいている。 雲海は見る見る棚田や村を覆い始めた。