門から撮った写真をみるとプロフィールは悪くない。アプローチから建物が近づくにつれ
丸みを帯びたファーサードと円をモチーフにした関連の設備など全体に統一感があり、
軽やかなリズムを生み出している。決して嫌いではない建物だ。
意味があるの?
玄関を通り、内部のコンコースに入ると円錐をさかさまにした部分が目に入る。意味を
考えるが特に機能的な意図はないようだ。円やRをモチーフにしているからという理由で
あろう。特に壁と外壁の隙間などの死んだスペースを作るなど建物としての機能的な
美しさはまったく感じられない。
モネ展
平日の朝にもかかわらず、かなりの人出である。やはり19世紀印象派なかでもモネの
人気は根強い。さすがに平日のためか年配、それも婦人の姿が多い。(オイオイ。お前は
どうだとの声)私は出張中で、午前半休だから、ネクタイ、スーツ姿とかなり浮いた存在。
バブルの遺産
今回は、オルセーなどヨーロッパから、ワシントンなどアメリカからの出展も多いが、
目に付いたのは、日本の企業の所蔵作品の出展が目立つ。アサヒビール、日本テレビ、
吉野石膏、ポーラなど数多くの企業の名前がみ見られた。バブル期の経常利益の
使い道が19世紀印象派であったのであろう。そしてそれは今になって、後知恵として
みれば賢明な投資であったのかもしれない。
経済的成功と美術館
歴史を振り返れば、スペインがプラドを、フランスがルーブルを、ロシアがエルミタージュを
イギリスがナショナル・ギャラリーを、アメリカがメトロポリタンを、その経済の絶頂に充実
させたように、日本もその経済的成功を人類の文化遺産の収集のために使ったのであろう。
ただ、残念なのは海外の事例では収集家は王族などを含むが、民間の富裕層であり、
その収集品は最後は公共のその様な美術館に寄贈されたり、遺贈されて、国民全体の
財産となった訳だが、日本は企業が所有者となり、そのまま企業の所有物のままだ。
モネ展を見て、貸小屋美術館の外見だけの建物に呆れて、六本木への道を歩きながら
豊かな貧しい国、日本と、豊かな第三世界の中国の対比を考えた。