ローマにカラヴァッジョを見に行くにあたって宿泊先として、行動の自由がきくAirbnbで宿を取る事は決めていた。問題はそれをどこにするかだ。学生時代に行った時はテルミニ駅のそばのホテルだった。今回は街中でないところが良いと思っていた。
どの街でも、一般的に言って街の中心よりの少しだけ離れた場所の方が、地元の人が行くおしゃれな場所がある。ネットで調べるとトラスヴィレ地区がレストランやバーなどが並ぶ街で、古くからローマの市民が住んでいた場所だということがわかった。古い建物や石畳の路地など写真を撮るのも良さそうなので、トラスヴィレ地区で宿を探した。
トラステヴィレ地区とは、テヴェレ川の向こう側と言うことで、場所としては、バチカン市国のすぐ南側になる。古くはテヴェレ川の西側はローマではなかったそうだ。だが、ローマの歴史は古いので、トラステヴィレ地区がローマになったのは、なんと2000年前だそうだ。そんな時代の街は日本にはない。
トラステヴィレ地区を遠いと思っていたが、テヴィレ川の橋を渡れば、観光客がよく行くような観光スポットの街中にも歩いて行ける距離で、路面電車に乗れば、あっという間に街の中心に着く。夜遅くまで開いてる店が多く、その古い街並みをたくさん写真を撮ることができた。
ローマへの旅行は、学生時代から40年ぶりのことだった。家族に同行を断られたので、一人旅になった。40年前とは言え学生時代に、一通りの観光はしていたので、トレビの泉とか真実の口とかに行くつもりはなかった。まず、カラバッジョの絵を見ることと、s次にローマらしい雰囲気の街をフィルムで写真を撮ることが目的だった。
壮大な建築物が並ぶローマの中心とは違い、トラステベレ地区は、古い建物と石畳の路地が残りつつも新しいレストランやバーが並ぶ新しい街でもあった。ローマの歴史と現代の融合を見るということで、良い選択だった。
今回の旅行を計画するまでトラステベレ地区のことは何も知らなかった。トラステベレ地区は、川向こうの労働者階級が住んでいた地区だったから、独自の庶民的な文化や風習を保ってきているそうだ。それでも、豪壮な古代の建物や教会、美しい広場が点在し、被写体として魅力的な光景が広がっている。
テルミニ駅からタクシーに乗って、ガリバルディ橋を渡って、すぐのシンディニー・ソンニーノ広場で降りたら、そこはもうお祭り状態だった。その喧騒を抜けて、宿に向かうと石畳とツタの静かな路地になった。
古い建物が保存され、飲食店以外にも、店舗やアートギャラリーが並び、現代を感じさせる。観光客も多いが、地元の人も多いという印象だ。
観光客は、ポルタ・ポルテーゼ広場に行くようだ。市場が立つことでも有名だが、興味がないので行かなかった。古代ローマ時代の城壁が残り、単に下町というだけではなかったことがよく分かる。すぐそばには、サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会もある。12世紀に建てられた教会で、周りにはカフェやレストランもたくさんあり食事には良かった。
またローマに行くことがあったら、またトラステベレ地区をベースにしたい。街中まで歩けるし、電車でも便利だし、何よりティベリス川の堤防が気持ち良い。
バチカンやダン・ブラウンの小説の「天使と悪魔」に出てきたサンタンジェロ城の夜の写真も撮りに出かけたが、川沿いを歩いてすぐの距離だったし、夜が遅い街で夜の写真撮影にも都合が良かった。思ったより、いつも賑わっていて、街の中心ほどでないにしても、昼も夜も観光客も多く、特に夜の賑やかさには驚かされる。ローマの中心部は、夜は暗く、閑散といる場所が多いが、トラステヴィレ地区は、たくさんレストランやバーがあるので夜でもたいそう賑やかだった。
でも、さすがに早朝の街を歩くと人通りも少なく、古い街並みの写真も撮れた。何軒か早朝から空いているカフェもあり、朝早い時間に飲むカフェラテは本当においしい。
写真は、ガルバルディ橋からサン・ピエトロ大聖堂