スーパーコンピューターのランキングを発表しているファイブハンドレッドは、2022年11月時点のリストを公開していた。富岳は2位のままか確認すると、まだ2位だった。米国テネシー州のオークリッジ国立研究所(ORNL)のFrontierが1位。理化学研究所計算科学研究センターの富岳が2位のまま。
昔、民主党政権時代に2位ではダメですかという言葉が有名になった。その呪いか、1位にはなれない。当然、担当者は1位を目指しているのだろうが、技術力は開発のための予算に比例する事は間違いないので、予算が少なければ順位は上がらない。
3位に入っているのは、欧州高性能コンピューティング共同事業(EuroHPC JU)、4位はイタリアのCINECAにあるLeonardo、5位にはオークリッジ国立研究所(ORNL)にあるIBM製のシステム「Summit」が入っている。
米国カリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所のシステム「Sierra」が第6位、そして中国江蘇省無錫の国立スーパーコンピューティングセンターに設置された、中国の国立並列コンピュータ工学技術研究センター(NRCPC)が開発したシステム、Sunway TaihuLightが7位に入っている。そして、中国は、ベスト10にもう一台。中国広州の国立スーパーコンピュータセンターに配備されているシステム「Tianhe-2A(Milky Way-2A)」が10位だ。
ランキングを発表しているTop500は、世界のスーパーコンピューターのリスト化を行っている。500位までに入っているのは、中国と米国が過半数以上を占めている。トップは米国の150台、2位は中国の134台。今回のリストでは、前回台数で1位だった中国が米国に抜かれて2位に落ちている。
この結果を見ても、経済的にも軍事的にも覇権を争っている。米中の二国間の争いがスーパーコンピューターの領域でも戦われている。景気が停滞してるとは言え、日本は世界3位のGDPを持つ国である。その国がスーパーコンピューターの領域で2位に入っているのは良いが、それ以外に何もないと言うのが問題なのかもしれない。
21世紀は情報とデータの時代であると言われて久しい。その基盤を担うべきコンピューターの開発において、2つの超大国の遥か後塵を拝している。これが結果的に、サービスやアプリの開発まで反映されて、日本からは、社会的に影響力のあるアプリやサービスが開発されないのは残念なことだ。
それでも近年まではゲームの領域では、日本は世界をリードしていたが、開発費の高騰化で巨大企業の争いになってくると、日本のゲーム開発についてもやや陰りが見えてきている。
少子化問題や様々な社会問題もあるが、軍事費に投下される予算の一部でも、コンピュータを含む様々な基礎研究にもう少し予算を振り向けたらどうだろうかと考えた。2位でも良いが、層も必要だ。