龍勝の棚田 #2

by Shogo

龍勝の棚田の続き。雨と霧の中を一人で歩いている。前にも後にも人っ子一人いなくて、少し不安になる。道から外れなければ遭難することもないと、上にどんどん登っていった。しかし途中で工事中のぬかるみになっていて道がなくなった。引き返して地図らしき物を見てみたが、山頂はそちらの方向のようだ。

仕方なくぬかるみの中を歩いて行くと、山頂らしい場所に出る。突然、そこに墓があることに気がついた。観光地の棚田の中にどうして墓があるのだろうかと考えていると、その隣には小屋がある。犬がいて私の方に駆け寄ってくる。おとなしい犬で吠えたりしない。さらに鶏も。

その山頂らしき場所で、そこから見えるはずの伏せった龍とその周りにいる9匹の虎の姿を想像しながら、真っ白な霧をしばらく見ていたら、突然後から話しかけられて驚いた。

話しかけたのは、その小屋に住むと思われる老女だった。私の中国語力では、天気が良くなくて良くないと同情してくれているような感じだけが分かった。誰もいないと思った山の中で突然声をかけられて驚いたこともあり、うまく言葉を返せなくてただ黙って老女の方を見ていた。それからやっと言えた言葉は、一番簡単な「ありがとう」と「さよなら」だけだった。

山頂を反対側に降り、また歩き出すが誰にも会わない。来た道まで山頂への道を一周し後戻ったが、来た道を降りるのではなく、山頂とは別の登り道をまた登り始めた。

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