FIFAワールドカップの3年周期案

by Shogo

FIFAワールドカップの3年周期案が浮上しているようだ。FIFA内部で検討されていると言う報道がされている。昨年から今年にかけて2年周期案が検討され、ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)と南米サッカー連盟(CONMEBOL)の反対により潰されている。しかしFIFAは、あるいはインファンティーノ会長は回数を増やすことをまだ諦めていないようだ。理由は簡単だ。単純に儲かるからだ。

FIFAの主要な収入源は、男子のワールドカップである。これを4年に1度行って、その4年間の他の多くの大会の費用や、FIFA自身のオーバーヘッド、世界の各国サッカー協会への分配金などを賄っている。ワールドカップの回数を増やせば、当然その金額も増えることになる。

今回のカタール大会では、FIFAは75億ドルの収益を得た。これは過去最大の収入となる。インファンティーノ会長は、2年周期案の際には2年周期にすることで、44億ドル余計に利益を得ると発言している。

2年周期案は一部では支持を得ていた。特にアフリカやアジアの国は支持したようだ。しかし、2年周期は世界のサッカーカレンダーに大きな影響が出るために、ヨーロッパや南アフリカで強い反対の声が出た。

特にヨーロッパだ。世界のサッカービジネスの8割程度がヨーロッパに集中している。ワールドカップによる影響はできるだけ最小にしたいのだろう。今回もシーズン中の大会で、スケジュールに影響が出ている。当然、選手への負担も大きい。その回数を増やすのは論外ということだ。

FIFAはUEFA、特にヨーロッパの有力クラブの懐柔策として、2025年からClub World Cupを32チーム参加にして開始することを発表した。この大会の賞金総額は20億ドルだそうだ。この金額で有力な発言権のあるヨーロッパのクラブを釣ろうとしているようだ。

問題は、その大会のための資金をどこから捻出するかだが、今回のカタールと同じように、中東を念頭に置いていると言われている。

それはサウジアラビアである。サウジアラビアは、エジプトとギリシャとともに、2030年のワールドカップに立候補することを発表している。2030年の他の候補は、ヨーロッパからスペイン、ポルトガル、ウクライナが立候補を表明している。南米からは、コロンビア、エクアドル、ペルーのグループとウルグアイ、アルゼンチン、チリ、パラグアイのグループの2グループが計画を表明している。アジアからは、カタール大会があったのでFIFAの規定で立候補できない。

この2030年の大会への投資として、2025年の拡大版Club World Cupを、サウジアラビアが費用を負担して行う可能性があることを予想する報道がされている。

スポーツの普及のためには金がかかるのは事実だ。サッカーのトーナメントを開催するためには、多額の費用がかかる。FIFAは、年齢別、男女別のたくさんのトーナメントを開催している。そのほとんどは、集金も集客もできない。FIFAが、その費用を捻出するために、主要な収入源の回数を増やしたいと考えるのは自然な流れであろう。考えてみれば、4年に1度と言うのは慣例であり、何の根拠もない。あるとすれば、オリンピックやラグビーワールドカップと同じ周期にすれば大会がぶつかることがないと言う事だけだ。3年周期に変えて、何回に一回だけオリンピックと同じ年に開催されても、FIFAは気にしないであろう。オリンピックの人気がある国は限定されており、FIFAが気にするレベルでは無い。

大変なのは、同じ年に放送権料を支払わなければいけないメディアだが、これも放送権を欲しがるネット配信企業は、当面お間はいくらでもいるであろう。

2年周期案が挫折した後で、3年周期案がどうなるのか。Club World Cupによる懐柔策が成功するのかどうか。来年には、はっきりするだろう。

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