労働生産性

by Shogo

OECDが労働生産性のデータを発表していた。このデータは1時間あたり労働のGDPを2012年と2022年で比べたものだ。数字は、インフレ率で修正後されている。日本は、1時間あたりのGDPが8.7%増加している。この30年余り、GDPの成長が止まっているから、労働時間が減少しているものと考えられる。ワークライフバランスが叫ばれて、36協定の運用が厳しくなっている状況で、労働時間が減少しているかもしれない。だが、その裏でサービス残業が増加しているかどうかについては、統計には出てこいない。

OECDの労働生産性のこのデータで一番生産性が向上したのは、アイルランドで、なんと73.7%。とんでも無い数字だ。2位がトルコで39.2%。3位がポーランドで32.6%、4位が韓国で28.5%。5位がクロアチアで14.7%、 6位がデンマークで8.8%、日本は7位で8.7% 。日本より下は、8位にアメリカで8.6%、9位はフランスで3.7%となっている。

1位のアイルランドの2012年のGDPは、1756.2億ユーロで2022年には5025.8億ユーロとなっている。この10年でGDPは286%の成長してる。労働生産性が73.7%上がったと驚くほどのことでもない。むしろ、労働時間が増加して生産性が下がった可能性がある。

日本人の労働時間は、厚生労働省のデータによれば、30人以上の事業者で、サービス業を含んで、2012年には年間1859時間、これが2022年には1718時間に減少している。これがGDPの成長率が低くても8.6%の生産性向上の要因のようだ。

過度な長時間労働は、労働者の健康や幸福に悪影響があり、生産性の低下を招く事は容易に推測される。しかし、労働時間の短縮が必ずしも労働生産性の向上につながるとは限らない事は、これまでの研究でも明らかになっている。

業種にもよるが、労働時間の短縮は疲労を軽減し、集中度を向上させて、生産性が向上した事例も数多く報告されている。しかしながら、生産性と労働時間の短縮は、必ずしも明確な因果関係がなく、産業、業種、企業、文化などに影響されて、労働時間の短縮をすれば良いと言うことだけでも無い。

しかしながら、経済学的ではなく、一個人として考えてみると、労働時間の短縮は健康や幸福感の向上につながる事は間違いない。今になって振り返って考えてみると、なぜほど長時間働いていたのか、自分でも理解できない。時代の空気や企業の文化、そういうものに影響されていたのであろう。ワークライフバランスを考えて、仕事だけではなく、他のことにも目を向ければ、もう少し良いアイディアや視点を生み出して、より創造性の高い仕事ができたのではないかとも思う。この点に対し関しては多少後悔がある。ただし、仕事は中毒性があり、取り組んでいるときには楽しくて、他のことに目に入らなかった。もう一度人生があれば、ワークライフバランスを考えた別の生き方があったかもしれない。これは今さら手遅れだ。

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