昨日も今日もラグビーワールドカップのために4時起きだ。昨日は試合を見ながら、いつものように新聞やネットパトロールを行った。しかし今日はイングランド・南アフリカ戦は一瞬たりとも目を離せずに最後まで試合を見ていた。本当に手に汗を握ると言うような試合だった。後半のドロップゴールで、イングランドが点差を広げたときには、2019年の雪辱をイングランドが果たすかと思われたが、やはり南アフリカは強かった。スクラムの勝利から何度も好機を作り出して、この試合での両チーム合わせて唯一のトライを奪い、最後はスクラムのペナルティーからゴールを決めて1点差の逆転だった。しびれる試合と言うのはこういうことを言うのだろう。
だから今朝は何も新聞やネットを読んでいない。だから、昨日の記事にあった日経のトヨタがテスラの充電規格を採用することについて考えてみたい。このニュースはニューヨークタイムズなどのアメリカのメディアでは全く報道されていない。トヨタは残念ながら電気自動車では大きく出遅れているから、トヨタの動向は誰も気にしていないということなのだろう。日経によれば、2023年1月から9月のEV販売台数はトヨタレクサスは9000台でテスラは51万台、GMが5万6000台と全く勝負になっていない。
電気自動車の充電規格は4つある。中国政府が進めているGB/Tは中国独自企画でこれが世界に広がることがないと思われるので、これを除く3規格が争ってきた。それぞれの地域の自動車会社が主導して企画が開発されてきた。
その3規格は、日本のCHAdeMO、ヨーロッパのCCS、そしてテスラのNACSだ。これらの規格は、充電速度、コネクタタイプ、および通信プロトコルにおいて異なる特性を持っている。
テスラが主導するNACSが今後世界の標準規格でになっていく事はもはや確実であろう。自動車のユーザから見れば、規格の統一は非常に利便性が向上することであり、また量産効果によりコストも削減できるであろう。結果的に今後の電気自動車の普及も進む。
ただ世界の自動車会社にとっては、充電サービスをテスラが握る可能性があることもあり、NACSの採用に躊躇していた。しかしながら既にテスラは北米で1万2,000の充電ステーションの「スーパーチャージャー」を展開しており、シェアは6割もある。もはや勝敗は決したと見て、トヨタGM 、BMW、Hyundai も雪崩を打ってNACSに採用に踏み切った。
ここで問題になっているのは、充電の際にネットワークにつながり、車両情報の収集・利用をテスラが握ることについては、各社ともテスラの独占を許さない方策を考えるようだ。
しかしながら、テスラのインフラを利用する以上、テスラのルールに従うことが求められるので、これは難しいかもしれない。結果的にはテスラは世界的の車両データ収集を一手に取り扱うことになる可能性がある。
電気自動車は以前から走るスマホと呼ばれている。その意味はネットワークにつながって、様々な情報をやりとりができるからだ。歴史的に見ても、全ての端末はネットワークにつながって、端末の中で完結するよう仕組みは少なくなる傾向にある。
パソコンはその代表例で、基本的にはインターネットにつながって、情報のやりとりしないと全く意味のないものだ。オーディオ機器も同様で、最初のポータブルオーディオのウォークマンはカセットテープで端末にデータを記録していた。しかしながら、今やこれはネットワーク化されて、Apple MusicやSpotifyのストリーミングとなり、ローカルにデータを記録する事は補助的なものとなっている。
この車のネットワーク化については、自動運転と言う観点からは非常に利点が大きい。道路上にある車のデータを全て管理するAIがあれば交通事故がなくなる事は確実だ。事故を避けるように車を操作できるからだ。
全世界の車がネットワークにつながって、一元的に管理されれば、交通事故の問題だけではなく様々なことが可能になる。例えば犯罪の操作のために車載のドライブレコーダーの記録をすぐに集めることも可能だし、細かなことで言えば天気予報も非常に精度が上がるであろう。世界中の車がその地点の気温や雨の量などをネットワークにビックデータとして送信するからだ。車のネットワーク化が実現すると、その車のデータをテスラが握れば、広告や各種サービスをテスラがやり放題だ。
そのような状況の中で、地上の携帯電話網を使うのか、あるいはテスラの兄弟会社であるStarLinkの衛星からのネットワークを使うのか。このように考えていくとイーロン・マスクが目指しているのは、地上と空の両方でのすべての端末のネットワーク化と言うことになる。これで、地球規模の生活のニーズに対応する企業の誕生だ。
トヨタはシャーシやエンジンの開発において自動車産業をリードしてきた。しかし電気自動車になって、エンジンの技術は無意味になり、全て簡単な電気モーターになるとトヨタの優位性はなくなる。さらにシャーシについても、トヨタはテスラと同じような一体型の成形技術の導入を決めた。最も重要なトヨタの優位性が既になくなっていると言うことのようだ。
そのように考えていくと、貿易赤字国である日本の唯一の稼ぎ頭である自動車産業の行方は暗い。そして、政府は新しい経済成長にはやる気がないようだ。現状を考えると、日本の未来も暗い。税収が7兆円も予想よりも多いということで、意味のないばらまきを行うようだ。この7兆円を未来の経済成長に振り向けると言うような発想がないのだろうか。仮にあったとしても、選挙目当てで国民に金をばらまく方が現時点では政権担当者にとっては有利ということなのかもしれない。このようなことでは日本の未来がないことだけは確実だ。誰か日本の未来を考える人はいないのか。