デジタルカメラの進化のスピードは恐ろしく早い。今や1億画素のカメラが普通に売られている。しかし、X線天文衛星「ひとみ」の代替機として、JAXAとNASAが開発したXRISM衛星のカメラは36画素だそうだ。
NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、1億2200画素だ。その高精細な写真は、宇宙の姿を刻銘に映し出した。しかし、NASAとJAXAの共同のXRISM衛星(クリズムと読むようだ)は、わずか36画素の非力と思えるカメラだそうだ。
XRISMの搭載するカメラ「Resolve」は、0.2インチ四方という小さなサイズに36個の撮像素子をがぎっしり詰まっているという。この素子は、それぞれがX線のエネルギーを温度として測定することができ、これにより、従来のカメラでは不可能だった元素の化学組成を詳細に分析することができるようだ。
Resolveは「軟X線」と呼ばれる、可視光の5000倍ものエネルギーを持つ光を検出することができるという。これにより、宇宙で最も高温の領域や、超大質量ブラックホールなどの巨大な天体を観測することが可能になる。
Resolveの各素子は、X線が当たった際の温度変化を測定する「マイクロカロリメータ分光計」として機能する。わずか36個のピクセルながら、400から12,000電子ボルトという幅広いエネルギー範囲のX線を、かつてない精度で分析することができるという。
XRISMの革新的な点
- 36ピクセルのX線マイクロカロリメータ分光撮像器を搭載
- 高エネルギーX線を高精度で観測可能
- 元素の化学組成を詳細に分析可能
- X線の動きを検知可能
- 銀河やブラックホール、超新星の謎に迫る
読んでいても知識の無さから理解できないのだが、Resolveは観測対象内の元素の動きを捉えることができ、立体的な視点を記録するすることができるのだそうだ。手前に向かって動いているガスはわずかに高いエネルギーを、遠ざかるガスはわずかに低いエネルギーを放出するという。この特性を利用することで、銀河団内の高温ガスの流れや、超新星爆発の残骸中の元素の動きを詳細に追跡することが可能になるという。これは、実際の画像を見せてもらって説明を受けないと意味がわからない。想像もできないから、この36画素のカメラの凄さが理解できない。
XRISMは、天文学に新たな時代をもたらそうとしていると記事に書かれているが、結果の写真を見ても理解できそうにもない。それにしても、この36画素のカメラは、どこが開発したのか気になる。JAXAも入ったプロジェクトだから、日本のメーカーの可能性が高い。しかし、カメラと言うよりも、この36画素の撮像素子をどこが開発したかが、重要だろう。このNASAとJAXAのミッションが進展すれば、もう少し情報が出てくるはずだ。これが、何らかの形で民生用のカメラにも使われると面白そうだが、何を撮るのだろう。