Appleは2024年6月10日から開催されるWWDC24で、iOSやmacOSの次期バージョンと共に、新しいパスワード管理アプリ「Passwords」を発表する予定だと報じられている。「Passwords」は、iOS 18、iPadOS 18、macOS 15で利用可能になる見込みだ。
現在Appleは、iPhoneやiPadなどでパスワードを管理する機能として「iCloudキーチェーン」を提供しているが、これを使わずにLastPassを使っている。だが、情報漏洩があったので有料版でも良いから乗り換えを検討していたので、これは良いニュースだ。
新アプリ「Passwords」は、iCloudキーチェーンをベースに、パスワードやアカウント情報を専用アプリで一元管理できるようにするもののようだ。報道されている情報を整理すると、Appleの新しいパスワード管理アプリ「Passwords」は、他の主要なパスワード管理アプリと比べて以下のような特徴がある。
iCloudキーチェーンをベースにしている
Passwordsは、Appleが以前から提供しているiCloudキーチェーンの機能を独立したアプリとして提供するもの。iCloudキーチェーンとシームレスに連携し、パスワードをiCloud経由で同期できる。
Apple製品との高い親和性
iPhoneやiPad、Macとの連携が非常にスムーズ、これは純正アプリだから当然だ。Safari、macOS、iOSアプリでのオートフィル機能など、Appleエコシステムとの統合される。個人的には使用するほとんどのデバイスがAppleだから、これは選択理由になる。
Windows対応を予定
当初はApple製品向けだが、Windows版の提供も計画されているという。1PasswordやLastPassのようなクロスプラットフォーム対応を目指すらしい。大学のPCはWindowsだから、これもメリットだ。
二要素認証コードの生成にも対応
Google Authenticatorのような二要素認証アプリとしての機能も備えるようだ。新しい地点でデバイスを使うと認証を求められるから、これも使い勝手が良いかもしれない。
パスキーへの対応
将来的にはパスワードに代わる新しい認証方式「パスキー」の保存・利用にも対応する計画だそうだ。「パスキー」は、いつ実装されるか明らかではないから、これは大きなメリットではない。
シンプルさを重視したデザイン
Appleらしくシンプルで直感的なUIデザインを採用だそうだ。初心者にも使いやすいらしい。これも、あまり選択理由にはならないが、使いやすいのはありがたい。
無料で利用可能
1PasswordやLastPassの有料プランのような高度な機能は一部欠くが、基本的な使い勝手は無料で提供される。これは、うれしい。有料でも仕方ないかと思っていたが無料が一番だ。
ともかく、Passwordsは他社アプリと比べてApple製品との親和性の高さが最大の特徴だ。一方で、セキュリティ監視機能や法人向け機能など、1Passwordのような高度な機能面では及ばない部分もあるようだ。それでも、Appleユーザーにとって使いやすい基本的なパスワード管理アプリなら、それで良いかも。パスワードマネジャーを探していたが、これで一旦は検討は中止だ。
ちなみに、パスキーとは、パスワードに代わる新しい認証方法のことだ。パスキーは公開鍵暗号方式を用いたFIDO2認証技術を採用する。Webサービス側に公開鍵を、ユーザーのデバイス側に秘密鍵を保存し、それらの鍵ペアを用いて認証を行う。本人確認については、デバイスの生体認証機能(指紋認証、顔認証など)やPINを利用して本人確認を行い、パスワード入力は不要になる。
一番の強みは、セキュリティの強固さだ。パスワードのような認証情報がサーバーに保存されないため、情報流出のリスクが低減される。そして、最大の特徴が、パスワードを覚える必要がなく、すばやいログインが可能になる。現時点では、FIDOアライアンスとW3Cによって標準化が進められており、Apple、Google、Microsoftなどの大手企業が導入を検討している。これが、一般的になればパスワードとはサヨナラだ。
それまでは、パスワードが必要だから、Appleは、専用アプリの「Passwords」の提供によって、より安全なパスワード管理とプライバシー保護を強化したい考えのようだ。「Passwords」の利用が進むと、1PasswordやLastPassといった競合他社の市場性に影響が出るだろう。