最近のテスラ株の株価上昇で、イーロン・マスクの個人の時価総額はトヨタ自動車を抜いたと話題になった。確かに個人で30兆円超の資産を持つと言うのは想像もできない世界だ。しかし、これは株価による時価総額と言うことである意味、想像で作られている金額だ。イーロンマスクは、時価総額110兆円のテスラ社の17%を所有している。これは約20兆円に相当する。
常にそうだが、イーロン・マスクはやはり並の人間ではない。民主党が進める富裕層の保有資産に対する課税の法案に反対して、課税された場合の税金を払う上でも、テスラ株の10%を売るかどうかの調査をTwitterのフォロワーに対して行っている。そのツイートの中でも、含み益は課税回避の手段という言葉を使って、民主党の法案に皮肉を言っている。
彼自身は、その調査結果に従うと明言しているので、イーロン・マスクはテスラ株の10%を売るかもしれない。株式相場では、結果としてテスラ株は5%下落している。
これは、富裕層の保有する資産対する課税の民主党の法案に対する彼自身の問題意識の表れであるようだ。Twitterの中で、彼は給料をもらっていないから、課税されて税金を払わなければならなくなると、株を売らなければ払えないと言っている。
このTwitterのフォロワーを使った調査では350万人が投票して、58%が売ることに賛成したと言うことだ。
イーロン・マスクは2012年に2,300万株のテスラ株のストックオプションを与えられている。これが8月に期限が切れるようだ。だから、どちらにしても売らないといけないので、どの道、課税は避けられないのが実態のようだ。
テスラは最近時価総額110兆円を超えて、トヨタのそれの6倍近くになって。一般的に行ってストックオプションは売らない限り課税されず、ずっと持てる形式が多い。つまり、株価が維持される限り、ずっと持っていれば課税されることはない。
イーロン・マスクは、今までストックオプションを行使せず、現金化して税金を払っていない。だが、その株式を担保として銀行から資金を借りている。つまり税金を払わずこの株式を資金化しているとも言える。
イーロン・マスクは以前に会社を上場廃止にすると言うツイートをして株価を操作した疑いで証券取引委員会から提訴を受けて、和解したことがあった。今回のこの株式売却についても同様に証券取引委員会が問題にするかもしれない。実際にこのツイートの後テスラの株式は5%下落している。
ロケットの話題といい今回のテスラ株の売却といい世界はイーロン・マスクを中心に回ってるような状況だ。確かにイーロン・マスクはPayPal等を起業して成功させてきた。テスラだけではなくSpaceXなどの宇宙事業やAIなどを手がけている。今後も彼はイノベーションを生み出していくのに違いないので、あまり揉め事を起こさないで仕事に専念してもらいたいものだ。
きっとイーロン・マスクは我々の生活を変えるようなことをしてくれると以前より信じている。それにトランプ大統領がパリ協定から離脱したことに抗議して連邦政府の役職から辞任したことなどから環境問題にも取り組んでくれるといいと思っている。
どちらにせよ、時価総額は投資家の期待と言う幻で実態を伴わないものだ。だからといって、テスラの価値はないと言うつもりはないが、イーロン・マスクが資産価値が30兆円を超えるとか言うのは大した事では無い。それよりも彼がやろうとしていることの方が大事だ。
バイデン政権の富裕層の資産に対する課税は政策としては多くの反対があっても、まっとうなものだ。それは特にアメリカにおいて富が一部に集中しているから、そこに課税をするというのは理にかなっている。だから意見を言うのは良いが、課税されたら素直に払えば良いだけだ。なぜなら彼の総資産を支えているのはアメリカと言う国であり、その経済だからだ。イーロン・マスクといえどもそれを超えているわけではない。