DAZNがBT Sports買収から撤退

by Shogo

DAZNの話題が続くが、またDAZNに関連するニュースを読んだ。BT Sportsの買収に関してだ。DAZNはもう1年以上もBTとの交渉を続けてきている。それが決裂したと言うことだ。先日までは、DAZNがBT Sportsを8億ドルで買収して、BT Sportsが持つプレミアリーグとチャンピオンズリーグの放送権を獲得するとみられていた。しかもその交渉も決着が近いとも、何度も報じられた。この買収が、DAZNにとってはプレミアリーグとチャンピオンズリーグの放送権を獲得する手っ取り早い近道だった。

しかし、そこに登場したのが米Discoveryである。Discoveryは昨年、AT&Tのメディア部門のWarner Mediaと経営統合したメディア・コンテンツの巨大企業である。ヨーロッパではEurosportを経営して、2024年までのヨーロッパにおけるオリンピックの独占放送権を持つ。さらにUEFAチャンピオンズリーグやツール・ド・フランス、テニスのグランドスラム大会などの多くのスポーツコンテンツを放送している。DAZNにとって競合会社である。

DAZNも先行投資で多くのスポーツイベントの買収行ってきた。しかしDiscoveryとは規模が大きく違う。多分Discoveryが、DAZNの買収価格を上回る、BTにとってメリットのある取引を提案したのだろう。

Sports Businessによれば、イギリスとアイルランドにおいてDiscovery傘下のEurosportとBT Sportsの合弁会社設立の独占的な交渉を行うことになったと報じている。

DAZNの会長は、BT Sports買収は今のDAZNにとって経済合理性は無いとコメントを出した。このことから、正式にDAZNとBTの交渉は打ち切られたことは確実だ。このあたりに、日本での値上げに関係するDAZNのキャッシュフローの問題か、キャッシュフローに問題はなくとも、今後は巨額の先行投資を行なわないと言う経営判断なのか。このあたりは、DAZN の親会社のアクセスインダストリーズのレオナルド・ブラバトニックの意向が働いていると考えるのが自然だろう。

現時点では、このままBTとDiscoveryの交渉が決着するのかどうかわからない。また最終的にはUEFAなどによる放送権の移動に関する承認も必要なのだろう。

BT Sportsは2013年にイギリスとアイルランドにおいて設立された。その目的は、AT&TがWarner Mediaを買収したように、ブロードバンドビジネスの拡大やコンテンツと垂直統合によるビジネスの拡大にあった。それが約10年経って、BT Sportsの切り離しを考えるのは、コンテンツビジネスから、本業の通信ビジネスへの集中を考えたと言うことなのかもしれない。

多分そこには、スポーツコンテンツの放送権料の高騰も影響している。DAZNや既存の放送局のSky、ESPN、DiscoveryのEurosportなどとの放送権の争いで、今後のコンテンツビジネスに不安を感じているのかもしれない。では、それではどうして、DAZNによる完全な買収による手離よりも、Discoveryとの合弁会社の道を選ぶのか。Discoveryのオファーが金銭的なメリットがDAZNのものより大きく、そして、BTにもまだスポーツコンテンツビジネスに未練もあると言うことなのかもしれない。

BT Sportsの行方は、今後のDiscoveryとの交渉にかかっているがDAZNとの交渉が長引いて最終的に崩壊したように、金銭のやりとり、合弁会社を作るのであればその構成、権利を持つスポーツ団体との調整などまだまだ山のように課題があるだろう。

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