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日曜日も天気がよかったので自転車で都立写真美術館まで向かう。日差しが強く帰るまでにすっかり日焼けして腕が赤くなった。
見たのは、「川内倫子展 照度 あめつち 影を見る」と「光の造形~操作された写真~」。光の造形の方は,]初期の古いダゲレオタイプなど面白いのだが、新しい多重露光やモンタージュなどは、今見ればデジタルで何でもやれてしまえるので新しくはないが、当時は珍しい手法だったのだろう。というかそういう伝統があるから今はデジタルになってフォトショップなどで何でもできるようになったということかもしれない。個人的に興味があったのは、レフレクションというコーナー。一時よく撮っていたショーウインドーなどの反射の写真。その一番は定番ともいえるアジェのショーウインドー。本とかで何度も見ているがプリントの実物を見たのは初めて。
川内倫子に関しては期待していったのだが拍子抜け。彼女の写真で日常に潜む驚きとか、よく言われる生と死とかではなく、阿蘇の野焼きを見せられてもなんだかなと感じた。それから、動画の展示とかインスタレーションの展示とかもピンとこない。鳥の群れが海の上を飛ぶ動画は、やはり動画でないと見られない面白さはあるのだが、彼女に期待しているのは写真であって、ある出来事ではない。その出来事を写真によってどう見せるかを期待しているのだ。動画の展示は45分あって、つらくなって10分ほどで出てしまった。
面白かったのはコンタクトシート。あの写真の背後には様々な出来事やシーンを撮って、その中から砂金を掬い取るようにして美しいイメージをつくっている努力の跡がわかる。いくつもいくつもアイディアを実行して、その中の僅かが作品になるのは彼女とて同様ということのようだ。