寒空の桜とコダックの行方

by Shogo

寒い日が続いているが、我が家のヒマラヤ桜が年末から咲いている。花弁とか全体のバランスが春に咲く桜とは違うが、この寒さで咲くからよしとしよう。でも、本当はそんな感激はない。桜が良いのは春に咲くから良いのであって、こんな寒さの中で咲いていても、そう嬉しさもない。しかし、たぶん私も冬扇夏炉の輩だからお似合いだ。

コダックの株価がついに50セントも割り込んで、あちこちで破産という言葉を見るが、連邦破産法のチャプター11は、事業の継続が前提の手続きだから、すぐにコダックのフィルムがなくなるわけではないと思う。ただし、事業継続にフィルムビジネスが収益面でマイナスと判断されると部門の廃止とか売却という可能性もある。

フィルムビジネスは、いわゆる枯れた技術で成熟していて、技術開発の余地も少ないから研究開発費も不要だ。だから細々と小さなオペレーションで続けるのも可能なような気がするのは素人の浅知恵かも。でも本当にそう思っている。

モノクロフィルムなどは、ハロゲン化銀の乳剤が売られていれば、個人でもできそうなことだ。ロールフィルムは難しそうだが、シートフィルムならだれでも作れるし、現に廃業したポラロイドの工場を従業員が買い取って、「Impossible project」という名前でインスタントフィルムを作り始めた例もある。

トライXが無くなるとネットに書いている人がたくさんいるが、仮にコダックが無くなってもだれかがトライXを買い取って作ってくれると個人的には信じている。みんなが流行のバスに乗って去って行ってしまうわけではない。今でも多くの人がトライXを使い続けたいと思っているし、私はTマックスを使い続けたいと思っている。だから、フィルムを使いながらゆっくり歩きたい人はまだまだ、たくさんいる。そういう人のためのビジネスは成立する可能性が高いと思う。ただし、いくらまでなら払えるかが問題だ。

これからはフィルムが完全に無くならないでも種類が1種類か2種類で価格もバカ高い時代になるのだろう。生産はヨーロッパのどこかになる可能性が高い。多分、そんな時代がかなり長く続くのだ。フィルムは、金持ちの道楽アイテムとして残り、使う人はほんの一握りだろう。これからは、もうバスの来ないバス停で寒空の桜とデジタル全盛のフィルムと、世の中についていけないわが身を重ねてみることとしよう。

 

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