東京都庭園美術館「皇帝の愛したガラス」展

by Shogo

7月14日から始まる「皇帝の愛したガラス」展のプレスプレビューにブロガー招待ということで参加して来た。東京都庭園美術館は年に何度か行っているが、東京の好きな建物のひとつなので招待してもらえてすごくうれしい。写真を撮ったりガラス器を鑑賞したり、2時間半近くも堪能してきた。

展示されているのはエルミタージュ美術館の所蔵品ということで、ロシア皇帝の収集品ということから、今回の展示会のタイトルがつけられている。 エルミタージュ美術館は、ルーブルやメトロポリタンと並んで世界三大美術館で、一度は行ってみたいと思っているが、まだロシアに足を踏み入れたことがない。

カラスというのは、本当に美しいものだと思う。透明だったり色がついていたりして、様々形に加工はされていて、眼にも硬質だったり、見た目は柔らかだったり、それでいて頭では冷たい堅さを同時に感じることができる。凍った炎があれば、きっとガラスのようなものだろう。古代に自然にできたガラス質の石などを発見した人類は、その美しさに魅了された筈だ。だから、紀元前よりガラス製造は行われている。

展示は、「ルネッサンスからバロックの時代へ」、「「ヨーロッパ諸国の華麗なる競演」、「ロマノフ王朝の威光」の三部構成になっている。入り口から「ルネッサンスからバロックの時代へ」が始まり、最初のコーナーはヴェネツィア。ヨーロッパにおけるガラス工芸の発祥の地で、ここで作られた技術が職人とともにヨーロッパ各地に広がったそうだ。上の大きな杯は、冷やして細かなひびを入れてつくられた、17世紀オランダのヴェネツィア様式のもの。

16世紀のヴェネツィアの鉢。繊細な流れるような線と影にでている装飾の加工が美しい。 ヴェネツィアのムラーノ島にはガラス工芸の職人が集められて、14世紀頃よりレベルの高いガラス製品が作られたそうだが、これは独立国家としてのヴェネツィアがそれだけ力があり富が集まっていた証拠だろう。絵画にしても彫刻にしても、教会や貴族といったパトロンがいて発展してきたのと同じように、ヴェネツィア・グラスも当時の世界一の海洋国家ヴェネツィアの富が作り上げたものだ。

ムラーノ島に工房が作られたのは、火事などの問題と職人を外部と接触させたり逃亡させないためだったという学芸員の説明があった。学生時代に一度行っているが、当時はただのガラス工場にあまり興味もなくほとんど印象に残っていない。

コーナーを飛ばして二階の「ロマノフ王朝の威光」の展示品。19世紀のロシア製。アールヌーボーの影響があるというか、そのまま。技術的に製造可能という技術の取得・伝承というような目的があったのだろう。

19世紀ロシアの燭台

東京都庭園美術館の学芸員の方から、お話があったのは、東日本大震災のこと。震災の影響で中止の可能性もあったが、最後はロシア側というかエルミタージュ美術館の日本に対する貢献の一環として実施が決定されたというお話があった。その後、各コーナーを詳しく説明いただいた。

全体的に見てガラスの美術品の歴史がカバーされていて、それぞれに素晴らしい作品が展示されていて見応えはある。でも ヴェネツィアにしてもアールヌーボーにしても、その他の様式にしても他でも見ることができたり見たりしているので、今回の見所はやはり最後のコーナーの「ロマノフ王朝の威光」だと思った。様々な形式、様式を取り入れた多くのガラス器が興味深い。これもまた、ガラスに限らず芸術や美術を庇護・発展させたロシア王室の残した成果なのだろう。その美を、今、私たちは楽しむことができる。週末に写真を整理して、もう少し展示内容を紹介したいと思っている。

おまけ

「なでしこジャパン」決勝進出おめでとう。 次は18日朝。昨夜は見られなかったので、次は昼間寝ておこう。

東京都庭園美術館「「国立エルミタージュ美術館所蔵 皇帝の愛したガラス」

東京都庭園美術館の説明より

■ ロマノフ王朝によって収集・継承されてきたヴェネツィアやボヘミア、イギリス、スペイ ン、フランスなどのヨーロッパ各地の質の高い作品群約130点に、エカテリーナ2世によって設立された帝室ガラス工場の製品を中心としたロシアガラスの優 品約40点を加え、15世紀から20世紀にいたるヨーロッパとロシアのガラス芸術の精華をご紹介します。

  • 会 期
    • 2011年7月14日(木)~9月25日(日)
  • 休館日 第2・第4水曜日(7/27、8/10、8/24、9/14)
    • 開館時間 10:00~18:00(入館は17:30まで)

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