老舎故居は王府井の少し北側の灯市口西街にあり周辺の雰囲気が良いので良く歩き回っていた。だからいつでも入れると思って今まで中に入ったことはなかったのだが、今回は中に入ってみた。入り口で切符を買おうとすると日本人かと聞かれた。顔に日本人と書いてあるのだろう。そうだと答えると切符と日本語と中国語で書かれた立派なパンフレットを手渡された。
入り口のドアは緑で、その奥の目隠しの壁も緑の板張りだ。これは画家である夫人の趣味のようだ。ちなみに夫人は50歳近くなって画家になり2001年に96歳で亡くなったそうだ。老舎の没年である66年から35年後だ。
行ったのは、もう一月も前なので今なら庭の気が緑だろう。奥の建物の左手が老舎の部屋になっており、有名な自殺したとされる1966年8月23日のままカレンダーが机の上にあり、当時と机の上や部屋は変わっていないそうだ。内部は撮影禁止なので写真はない。
最近読んだ本によれば、老舎の自殺については疑問が多いそうだ。満州族の貴族出身という出自や(と言っても義和団事件で戦死した父は下級兵士で豊かではなかったようだが)ロンドンに赴任していたことなどが原因だろうが、自殺したとされる前日に紅衛兵に袋だたきにあったそうだし、自殺した池までは一時間以上歩かなければいけなく、病気をしており、なおかつ前日に乱暴された老舎が歩いてそこまで行ったということは難しいと考えられること、その手前には后海なども含めてたくさん湖や池があること、遺体は家族に引き渡される前に火葬にされていたことなど疑問が多いようだ。1966年という現在の中国の暗黒時代には起こりえたことなのだろう。
灯市口西街は王府井大街を北上して、世都百貨という今は閉店しているデパートの所を左折。交通量は多いが小さな店があって北京らしい 雰囲気。西に抜けると皇城遺跡公園になっている。