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食事をした後、ふらふら歩いていたら珍しい光景を見かけた。珍しいは、日本人にとって珍しいで北京では珍しくないことだ。それでカメラを持っていたので撮ってしまった。カメラを持っていたと言えば、平日も仕事鞄に小さめのカメラを入れているので常にカメラを持っているのだが、この時は手に持っていた。
住宅地の中に店がある。住宅地なので、観光客向けの店ではないだろう。ただ売っているものはみやげ物のような雑貨だ。歩いていくと、いくつもお店があった。小さなスーパーやレストランが何軒か並んでいる一角に何軒か店がある。
そのエリアを通り過ぎた時に焚き火をしているように見える人が目に入った。よく見るとお金のような紙を燃やしている。
本当はこういう光景を写真に撮ってはいけないかも知れないが珍しくて夢中でシャッターを切った。ブレ気味なのはそのせい。
後で同僚に聞くと、これは先祖にお金を送っているのだという。特に日にちがある訳でなく、命日だったり季節の変わり目だったりするそうだ。今の季節なら、先祖が暖かい衣類を買ったり、温かい食べ物を買ったりできるようにお金を送っているのではないかという解説だった。彼らは亡くなったお父さんを偲んでいるのだろう。
日本でも盆に先祖をお迎えしたり、盆が終わるころに食べ物と一緒に先祖を送くるような習慣がかつてあったが、考え方は同じだ。