9月の雨の「なごり」

by Shogo

降り続いた雨が止んだので外にでた。秋めいた曇り空の蓮の葉に

雨の名残の水滴が。

大雨も名残はほんの数滴で激しい雨は跡形もなく消えている。

「なごり」とは、当然そのものではなく、元のものを思い出させるもの、

わずかに残った跡のことだ。

なごり、なごりと呟いたら、カズオ・イシグロの「日の名残」を思い出した。

1989年にアメリカの大学に行った時に、どの本屋でも見かけて、

Kazuo Ishiguroという日本人ぽい名前の人を知らなかったから

不思議に思った。

その後、”The Remains of the Day”を読んで、いくつかの作品を

読んだ。最近読んだ、”Never Let Me Go”も良い作品だ。彼は

いろいろな喪失感について書いている気がする。失われる歴史、

失われる感情、失われる生。彼が幼い時に、両親とともに日本を

離れ、イギリスに帰化したことが彼の作品から感じる喪失感に影響を

与えたのかどうかは知らない。読み方はいろいろあるにせよ、

その作品の雰囲気や伝わるものは今後もずっと残るだろう。北京でも

人気のあるHaruki Murakamiとともに20世紀から21世紀の日本生まれの

作家として歴史に名を残す人だ。

なごり、なごりと唱えていると、別の名残も見つけた。

解かりづらいが、蝸牛の名残。

キャノン倶楽部 TB撮影会 9月「なごり」参加

Never Let Me Go

Never Let Me Go

  • 作者: Kazuo Ishiguro
  • 出版社/メーカー: Vintage
  • 発売日: 2006/01/01
  • メディア: Perfect

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