2016年頃にアメリカの多くのメディアは、インターネットの表記について大文字の「I」から小文字の「i」に変えました。インターネットは、大文字が示すような固有名詞ではなく電話や新聞のような一般名詞になったのです。すでに、インターネットが普通のメディアになったことの証明です。
マーケティングのデジタル化を始めるために、インターネット普及後のメディア環境を理解することが重要です。
SNSの時代
スマホとインターネットの急速な普及が、メディア環境や行動・価値観を全く変えました。博報堂の「メディア定点調査」によれば、2011年には、パソコンとスマホのメディア接触時間のシェアは32%でしたが、2020年にはデジタル端末のシェアが52%と半分を超えています。当然、マス4媒体は、接触時間の実時間でもシェアでも減少しています。
そして、そのスマホの時代の主役に躍り出たのが、SNSのアプリでした。総務省のデータによると、2019年のSNSの利用率は、全年齢層でも69%で、これはメールの利用、検索に次いで第三位です。
メディア環境を整理
このような環境をマーケティングの観点から見ると、個人も含めた情報発信者が飛躍的に増え、情報のコントロールが消費者の手に渡ったと言えます。これを整理するために、トリプルメディアと言う考え方が提唱されています。それは「所有するメディア(オウンドメディア)」、「信頼や評判を得るメディア(アーンドメディア)」、「買うメディア(ペイドメディア)」、の3カテゴリーに分ける考え方です。
所有するメディア
所有するメディアは、自社のメディアです。会社概要だけではなく、マーケティングに活用するための様々な特別サイトやブログが使われます。SNSの自社アカウントも、この所有するメディアです。以前からあるPR誌やカタログ、POP、商品パッケージも所有するメディアに含まれます。
信頼や評判を得るメディア
信頼や評判を得るメディアは、第三者が発信するSNSです。各種のSNSや、第三者のブログ、掲示板などがあります。SNSで自社の情報が取り上げられたり、第三者が商品を評価したりすることで、自社への信頼を獲得できます。これは、口コミやマスコミ報道で取り上げられ評判になったりすることと同じです。第三者の評価は信頼性が高いのです。このカテゴリーで、問題は内容をコントロールできないことです。また、ネガティブな情報が拡散することも考えられるために、モニタリングを行って自社の評価を常に監視していくことが必要です。
買うメディア
買うメディアは、広告メディアのことです。インターネットであれば検索連動型広告やバナー広告であり、マス媒体の広告もここに含まれます。
デジタルマーケティングを始める基本は、トリプルメディアを連携させることです。基本は、所有するメディアをハブにして、自社や商品についての情報発信を行います。自社の強みや差別化ポイントの情報です。しかし、所有するメディアだけでは、到達範囲が限られますので、信頼を得るメディアと買うメディアを使って、その情報を知ってもらう努力を続けることも必須です。発信情報を企画する際には、情報のコントロールが消費者の手にあるということを忘れないでください。消費者の興味を持たれない、一方的な情報発信では何も伝わりません。
【広島経済レポート寄稿文】