顧客生涯価値

by Shogo

顧客生涯価値とは、顧客が取引を開始してから終了するまでに企業にもたらされた利益の総和です。取引を一回で捉えるのではなく、継続的なものとして考え、長期にわたって関係性を維持しようとするマーケティングの概念です。この考え方は比較的新しいもので、1980年初めに、リレーションシップマーケティングが提唱され、長期の顧客維持の効率が認識されるようになりました。ここから派生して、1980年代末に「顧客生涯価値」が提唱されました。この概念は、デジマ時代に、さらに重要になっています。

既存顧客を維持するメリット

長期の顧客維持により、利益を拡大するマーケティング手法は、それ以前より行われております。ポイントプログラムやフリークエントフライヤープログラムが、それです。一般的に新規顧客を獲得するコストは既存の顧客を維持するコストの5倍以上と言われています。

デジマでの顧客生涯価値

以前は、顧客生涯価値を平均値で考えました。しかし、システムやツールにより、顧客との取引を管理することができるようになって、個々の顧客の生涯価値を算出できるようになっています。また、デジマでは、顧客獲得コストを、ある程度正確に測定できます。この際に効率を、そのキャンペーンの単発の取引として考えることは間違っています。以下のような例を考えてみてください。ある顧客は、1度に高額の購入を行いました。別の顧客は、少額ですが、長く購買を続け、合計では、より大きな利益を企業にもたらしました。どちらが、重要な顧客でしょうか。キャンペーンの獲得コストを単発の取引で考えない理由はここにあります。キャンペーンの評価にあたっては、後者のような長期的な顧客を、どれだけ獲得したかが重要です。顧客生涯価値を計算しながら、獲得コストの評価を行わなければいけません。また、どの程度の獲得予算がかけられるかも、顧客生涯価値を推定できないと上限が設定できません。

顧客のセグメント化

すべての顧客は等しく重要と言うわけではありません。長期にわたって利益をもたらす顧客が重要です。そのために重要な顧客を選んで、その顧客の利益への貢献に対応したロイヤリティプログラムが必要です。顧客との取引データをもとに、生涯価値の高い顧客セグメントを発見して、そのセグメントを維持するプログラムを実施しましょう。

顧客維持のコミュニケーション

長期顧客にはプレゼントや特典も検討できますが、まず丁寧なコミュニケーションが求められます。メルマガなどで定期的に情報提供し、セグメント毎にパーソナライズされたコミュニケーションを行うことが必要です。たくさんのセグメントに対して、個別にタイミング良く対応するのは難いので、マーケティングオートメーション(MA)のようなツールで、これを自動化することができます。また、顧客毎のマイページも良いアイディアです。そこで、顧客アンケートやフィードバックを求めて、より良い商品やサービスの開発に役立てる努力は、顧客の意見が尊重されていると考えられ良い印象を与えます。

デジマ施策検討では顧客獲得や維持の予算策定のために、顧客生涯価値を正しく把握することが重要です。まず、顧客生涯価値の算定し、予算の上限を念頭に置きましょう。

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