スマホの買替えは、いつしますか。筆者は新製品が出ると、あまり使ってなくても、買替えの誘惑に駆られます。
スマホの買替えサイクル
少し古いデータですが、東証が会社員を対象にスマホの買い替えについて行った調査があります。これによると、1年に2回以上買換える人は4.8%、2年に1回程度が36.9%、3年以上買い替えない人は46.7%となっています。実に4割を超える人が2年以内に買換えているようです。これはスマホの耐久年数を考えると、かなり早い買替えです。このサイクルの短さが、マーケティングの結果です。
計画的陳腐化
製品が市場で飽和まで普及すると新規の需要がなくなります。この市場で売上を維持し、事業を継続して社会のニーズに応え続けるためには、買替え需要を創り出す必要があります。
そのときに、企業が取る戦略は計画的陳腐化です。それは、モデルチェンジなどで、商品を時代遅れにし、買替え需要を促進して、売上拡大を図るマーケティング手法です。買替えのサイクルが短くなれば、それだけ長期的な販売量は増えます。白熱灯のように、部品の寿命が来て買換えると言う事だけではなく、マーケティング施策によっても買替えが促進されます。
その古い例は、GMが採用したフルライン戦略と毎年のモデルチェンジです。フルライン戦略により、より上位の高価格帯への買替えを促すと同時に、新しい車種・色、速いエンジンの新車を投入し、車にモードを持ち込み、陳腐化を進めました。それによって新規の需要を作り出したのです。スマホの毎年の新モデルも基本的にはGMの新車発売と同じです。
企業は、収益を上げ新しい技術や製品を提供することで社会に貢献しています。市場が飽和して需要がなくなれば、次世代の商品開発ができなくなります。陳腐化戦略により需要が創出される結果、企業は、手ごろな価格の商品を販売でき、自社や社会に利益をもたらします。
スマホの場合には、新技術やニーズに対応するために開発が続けられます。それでも、Appleは5年間、Androidは2年間、ソフトウエアの適合を保証しています。しかし、毎年の新モデル発売の結果として、1年前のモデルすら陳腐化し、買替えをする人がいるのが現状です。
陳腐化の外に商機を見出す
計画的陳腐化が行き過ぎると、消費者は、より寿命の長い製品に目を向けるか、最悪の場合、製品の使用を完全に止めてしまうかもしれません。この陳腐化の負の側面を考慮して、事業を行っている企業もあります。長く使い続けるスマホで存在感を示しているオランダのベンチャーです。自分で修理でき、より高性能な部品が登場した場合には交換できる、長く使い続けられるスマホとして差別化しています。またパタゴニアは、買換えるのではなく、修理して使い続けることを推奨して修理サービスを行っています。このような企業は陳腐化戦略とは逆の方法でビジネスを行っています。 利益を確保して事業を継続していくためには陳腐化戦略も効果的です。しかし温暖化の時代に、環境負荷も考慮する必要があるでしょう。例えば、新製品ではなく、既存製品の新しい使い方・使う場所を提案する方法です。食品であれば新しいレシピを考案することです。その提案をウエブサイトでコンテンツとして展開して、製品に別の光を当て、販売を活性化できます。ウエブサイトは、このようなコンテンツを発信する最適なメディアです。