古代文明誕生のきっかけは、5千年前頃から始まった地球の乾燥化と言われています。乾燥化のために、人類が河川の近くに定住し、水の管理などのために文字の使用が始まったと言われています。環境変化が文明を誕生させたのです。
コロナ禍がもたらす環境変化
同様に、コロナ禍が社会を変えています。ビジネスや取引のオンライン化が、さらに普及しました。会議がZoomによるリモート会議になり、電子商取引(EC)も利用が活発に行われています。メディア接触も変化し、Netflixは契約者数が2億人を超え、「あつまれ どうぶつの森」のようなオンラインゲームを使ってイベントが開催されるようになっています。
この変化する環境下で、2つの視点が必要です。デジタル技術やデジタルメディアを活用して、マーケティング活動を進化させることと、新しい環境下でのビジネスモデルを見直すことです。
ビジネスのオンライン化
以前より企業や消費者は、商品やサービスをオンラインで提供・購入することが多くなっていました。コロナ禍により、さらにオンライン化が進んでいます。国連貿易開発会議によれば、世界の小売に占めるECの割合は、2019年の14%から2020年には約17%にまで上昇しました。しかし、日本においては、経産省よれば消費者向けのEC率は2019年で6.76%です。2020年の数字は未発表ですが、店舗の営業停止などを考えると、もう少し市場は拡大しているはずです。コロナ禍が収束した後も日本でもEC市場が成長するでしょう。この市場への進出は、ビジネスモデルの見直しの一つの方法です。
ECのメリット
価格競争に悩んでいたり、消費者の理解に困っていませんか。ECで解決できることもあります。商圏を一気に拡大することや、中間マージンを無くし価格を下げることができるのはECの利点です。また、消費者と直接接することで、消費者の行動が明らかになります。ECでは新製品のテストや、顧客から直接に要望を聞くことも容易です。
EC市場参入の方法
ECに参入する方法としては、楽天などのモールに出店する方法、SNSのショッピング機能を利用する方法、Shopifyのようなサービスを利用して独自ショップを開店する方法があります。訪問者が多いモールやSNSへの出店では、出店料や手数料が必要になります。一方、独自ショップでは、広告で訪問者を誘引することが必要になり、広告投資も大きくなります。ECにおいては広告が店舗の代わりだからです。
どの方法も一長一短です。そのため、最初は訪問者が多いモールなどに出店して、固定客が増えた段階で独自ショップに移行するという方法も考えられるでしょう。
新しいビジネスモデル
ECで直接販売する際に問題になるのは、既存の流通との競合です。この問題を避けるために、ECの参入は、新規のビジネスや商品で行うというケースもあります。直接販売で成功している「キリンホームタップ」はその例です。既存流通との競合を避けて、新規の商品ラインやビジネスでECに参入している例は増えています。
競争の激しいEC市場への参入は簡単なことではありません。立ち上げのコストや、大きな広告投資という問題があります。しかし、スマホの普及やコロナ禍をきっかけとしたオンライン化の進展を考えると、変化の激しい時代に企業が競争力を維持するために検討を開始すべきテーマの一つです。
【広島経済レポート寄稿文】