今日で定期試験は終わり、後は採点と評価を行うと夏休みだ。夏休みだといっても、学生の時のように特に嬉しいわけでもない。歳のせいかもしれないし、夏休みになっても次の学期の準備や研究など学期中と同じように仕事を続けるかもしれない。
40数年働いてきたが、特に仕事が嫌だと思ったこともない。仕事が好きだと言うよりも、仕事がもたらすチャレンジが好きだったかもしれない。だが、日本人はある調査によれば、他の国の人に比べて仕事に満足していない人が多いようだ。
総合人材サービスのランスタッドが、世界の15カ国を対象に行なった、仕事についての調査を見かけた。この調査は15カ国で5000人以上を対象にして、2020年に行われた。
調査対象になった15カ国の中で、インド人は、91%が自分の仕事に満足していると答えたのに対して、日本人は満足していると言うと答えた人はわずか48%だった。
他の国では、アルゼンチンが82%、アメリカが80%、ドイツが77%、中国が76%、イギリスが74%、フランスが73%となっている。これを見ても日本人の48%は圧倒的に低い数字だ。
2021年10月に「今日の仕事は楽しみですか」と言う広告が、SNS上で批判され、炎上した結果、広告主は1日で広告を取り下げる出来事があった。これも流行りのキャンセル・カルチャーの1つだが、「仕事」という言葉と「楽しみ」と言う言葉が組み合わさったことを皮肉ととった人がいたということなのだろう。
一般的には西洋的な労苦説に対し、東洋では労楽説として、仕事を楽しむ文化があると考えていたが、もはや仕事を楽しむと考える人は減少してきたようだ。
いつの頃から日本人は仕事が嫌いになったのだろうか。バブル崩壊後の長い低迷の時期に労働環境が大きく変化してきているのだろうか。成果が上がらないまま長時間労働を続けたり、強いストレスを受けるなどプレッシャーを感じているのかもしれない、このような職場環境が以前よりハラスメントを助長しているのかもしれない。右肩上がりの経済成長が途絶えて、給料が上がらないと言うことも理由の1つかもしれない。社会の閉塞感が、このような気分を産んでいるのだろう。
理由はともかく仕事に満足しない人が増え、経済が成長するはずがない。政府の無策がこの経済的・社会的環境を生み出したことは間違いがない。昨今のデジタル化政策のドタバタを見ても明らかだ。
一定以上の老人は退場して、若い世代に松明を渡さなければ、何も変わらないのかもしれない。50歳以上は、政治や企業から総退陣するという改革で、大きく変わると思うが、どうだろうか。もはや、古い時代の知識や経験は無効というより、害をもたらす時代になっている。それくらいの改革がないと、この社会も経済も変わらない。