ロンドンのヌートバー選手

by Shogo

MLBが、今週末ロンドンで公式戦を行う。今回の対戦はシカゴ・カブスとセントルイス・カージナルスだ。2試合のチケットは1日で完売したそうだ。

前回は2019年の6月にニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスで行われている。この際もチケットは即日完売した。MLBもよく考えていて、ロンドンでのMLBの最初の試合の組み合わせは、ニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスという、ライバルで有名な人気チームの組み合わせだ。この時もチケットは即日完売だったそうだ。このあたりが、MLBが商売前提ということがよく分かる。

試合はロンドンのオリンピック・スタジアムで行われる。オリンピック・スタジアムは、オリンピックのメインスタジアムだった。その時の収容人数8万人から縮小して、今収容人数は54,000人だ。

前回の2019年の試合の記事を読んで驚いたのは、MLBのグッズがよく売れ、2日間の在庫を1日で売りきってしまったと言うことだ。イギリス人がアメリカの野球のグッズを欲しがると言うのも意外な感じがする。この2019年のロンドンでの試合でのグッズの売り上げは、MLBの国際試合での販売記録を大幅に塗り替えたそうだ。しかも、この記録は2008年にヤンキー・スタジアムで行われたオールスターゲームの3日間のグッズの販売額の国内記録を上回っていると言う。

ロンドンのオリンピック・スタジアムは、普段はプレミアリーグのウェストハム・ユナイテッドの本拠地として使われている。そのサッカー場が野球場になっている写真を見ると、何か新鮮な気がする。ロンドンにアメリカを感じると言うのは不思議な感じだ。

MLBは、アメリカ・カナダ以外での公式戦を行ってきた。1番多いのは東京とメキシコで5回、オーストラリアで1回、ロンドンは今回で2回。

過去の海外の公式戦出場チームは以下の通り

  • 1996年8月16日~18日: ニューヨーク・メッツ vs サンディエゴ・パドレス(メキシコ・モンテレイ)
  • 1999年4月4日: コロラド・ロッキーズ vs サンディエゴ・パドレス(メキシコ・モンテレイ)
  • 2000年3月29日~30日: シカゴ・カブス vs ニューヨーク・メッツ(東京ドーム)
  • 2004年3月30日~31日: タンパベイ・デビルレイズ vs ニューヨーク・ヤンキース(東京ドーム)
  • 2008年3月25日~26日: ボストン・レッドソックス vs オークランド・アスレチックス(東京ドーム)
  • 2012年3月28日~29日: シアトル・マリナーズ vs オークランド・アスレチックス(東京ドーム)
  • 2014年3月22日~23日: ロサンゼルス・ドジャース vs アリゾナ・ダイヤモンドバックス(シドニークリケットグラウンド)
  • 2018年5月4日~6日: ロサンゼルス・ドジャース vs サンディエゴ・パドレス(メキシコ・モンテレイ)
  • 2019年3月20日~21日: シアトル・マリナーズ vs オークランド・アスレチックス(東京ドーム)
  • 2019年4月13日~14日: セントルイス・カージナルズ vs シンシナティ・レッズ(メキシコ・モンテレイ)
  • 2019年5月4日~5日: ヒューストン・アストロズ vs ロサンゼルス・エンゼルス(メキシコ・モンテレイ)
  • 2019年6月29日~30日: ニューヨーク・ヤンキース vs ボストン・レッドソックス(ロンドン)

これで見ると、東京やシドニーの場合には、その年のシーズンの開幕戦として行われていることがわかる。一方、メキシコやロンドンは、シーズンの最中に開催されている。これは当然移動の時間を考えると、そのようにならざるを得ないのだろう。メキシコのモンテレイは、北部の街で、アメリカとの国境から100キロ程度しか離れていない場所だ。普段と変わらない移動時間と距離だろう。また、MLBの選手たちがアメリカの西海岸と東海岸を移動していることを考えると、ロンドンも東海岸から、同じ6時間で行くので、これも普段とあまり変わらない移動時間となる。

その点、日本やシドニーは遠い。だから、春に開幕戦で行わざるを得ないだろう。これについては、アメリカのチームのファンからは、開幕試合が地元のファンから奪われるとして評判が悪いと聞いたことがある。

このリストを見て、イチローの引退の年の2019年に東京ドームにイチローを見に行ったことを思い出す。4年前のあの年も、イチローのチームのマリナーズを東京に連れてきたのだった。当然のようにすごい人気でチケットを何とか取れた。やはり、商売がうまい。2000年のときにも行っているが、それはチケットを貰ったからと記憶しているが、どうだったのだろう。

過去の記録から見ると、近年は国際試合が増えてきたことがよく分かる。パンデミック期間中はなかったのは、同然としても2018年以降は回数が多い。海外を重視するようになったということだろう。

MLBが海外で公式戦を行うには、意味がある。それはもちろん、MLBの市場の拡大である。公式に聞けば、野球の普及のためにやっていると答えるであろうが、本当の目的は、MLBの放送権や、様々な関連ビジネスを海外に拡大するためと考えるのが順当だ。純粋に野球の普及ということであれば、非営利の国際野球ソフトボール連盟の業務でありMLBはビジネスを追求する組織だからだ。

イギリス人と野球は合わないような気がするが、たった二日間で108,000人を集めるだけだから、ロンドンのような巨大な都市には、当然、アメリカ人も住んでいるであろうが、野球が好きと言うイギリス人もその程度はいる。

今回のロンドンでの試合には、セントルイス・カージナルスが参加している。ワールド・ベースボール・クラシックで話題になったラーズ・ヌートバー選手も行くことから、今週末は日本でも多少話題になると思われる。

You may also like

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください