Tourism Economicsのデータによれば2023年もフランスが7,240万人のインバウンド観光客を集めて1位を維持した。フランスは、パリが歴史・文化・食事・娯楽などを提供できる世界一の観光地だということも大きいが、南部のビーチや温暖な気候からアルプスでのスキーまで楽しめることで世界中から観光客を集めている。それと、ヨーロッパの中心に位置してヨーロッパの観光旅行をする人にとってもヨーロッパの玄関となり、これも観光客が多いことの理由だろう。
Tourism Economicsのデータでは、インバウンド観光客数の多い順番は、1位フランスの7,240万人に続いて2位がスペインで7,080万人、3位がトルコで4,550万人、5位にギリシャで2,750万人、6位がタイで2,730万人、7位がイタリアの2,590万人。それでやっと日本で8位の2,070万人。続いてドイツが1,980万人で9位、そして10位にオーストラリアで1,650万人となる。
日本は8位でフランスの29%程度に過ぎない。まだまだ観光立国と言うには程遠い。昨今の外国人観光客の多さから、もっと多い気がしていたが、そうでもない。ただ、これは2023年の数字ということもある。
JNTOの数字によれば、2023年のインバウンド観光客はコロナ前の2019年比21.4%減となっている。しかし、2024年の訪日外国人数は3,310万人と予測され、過去最高を更新する見込みだそうだ。考えてみれば、新型コロナ感染症が5類になったのは昨年5月のことで、まだ1年ほど前のことだ。もうずいぶん昔のように思っていたが、2023年は、まだコロナ禍の影響下で国際航空便なども含めて5月までは異常事態だったのだった。喉元過ぎればで完全に忘れてしまっていることに気がついた。
JNTOのデータに戻ると、2024年1-4月のインバウンド観光客は1,160万人で2019年同期比5.7%増と好調だ。3月は単月で初めて300万人を突破し過去最多を更新して、4月も300万人超が続いているという。
JNTOの見込みによれば、2024年のインバウンド観光客旅行消費額は7兆円超が期待でき、日本経済の大きな稼ぎ手になる。7兆円と言えば、広告産業と同規模になる。今後は観光業界は重要な産業となる。この調子で政府が目標としていた2025年3,188万人も、2024年中に達成しそうだ。
円安でインバウンド観光客が急増して各地でオーバーツーリズムが問題になっているが、その対策を勧めて、持続可能な観光の実現に向けた取り組みが必要だろう。それが出来てという前提となるが、もう少し戦略的なプロモーションを行って、日本の多様な魅力を訴求することが重要と思われる。フランスやスペインに比べて地理的な不利な条件を克服して、観光産業を大きく育てるために政府や地方自治体は本気で、海外でのプロモーションに取り組んでいるのか心配になる。