川内倫子の日本橋三越での展示を最終日に見に行ってきた。
今回の展示は、アイスランドで撮られたM/Eと言うシリーズ。M/Eは、”母なる大地”=「Mother Earth」と言うことらしい。アーティストを単略的に理解するのはいけないが、結婚・出産をしたことと関係があるのだろうか。
作品は、天地が120センチもある大きなもので、記載はないが、多分前回のHaloと同じくデジタルでとられているのだろう。縦位置の写真が中心。氷河の氷に当たった光などは初期のイメージを彷仏とさせる。それは、川内倫子らしい作品だ。やはり、川内倫子は光のアーティストだと思う。
同時に前回のHaloのシリーズの作品も並んでいる。こちらは、横位置が多い。
Haloのシリーズと今回のアイスランドを見て思うのは、こちらの勝手な思い込みだが、川内倫子には海外ではなく日本の日常の中に見られる普段気づかないようなイメージを見つけてきてもらいたいと言うこと。
アーティストには失礼な話だが、初期のイメージに引きずられているのか、アイスランドやブライトンといった自然を対象にしたような写真には、川内倫子らしさが感じられない。
Haloのシリーズの祭りや鳥、空と言うモチーフは好みと言えば好みなのだが、私が川内倫子に求めているものとはちょっと違う。
求めていると言うのも失礼な話だが、日常生活の裏に隠れている様々なイメージを見つけて提示するのが川内倫子のアーティストつの能力だと思っているからだ。
そういう意味で、以前の「あめつち」もあまり好みではない。しかし多分こういうのは、変化しているアーティストにとって初期のイメージを求められても困ると言う事なのだろう。
しかし、大抵の場合は、ファンと言うのはそういう人が多いものだ。思い込んだイメージを常にアーティストに求める。勝手なものだ。
実は三越のギャラリーに入ったのは初めてで、様々なコーナーで何人かの作品が展示されていた。もちろんこれは販売のためのギャラリーなので、すべて値段がついて売られているものだ。ちなみに川内倫子の作品はフレームがついて100万円と少し。どうしても欲しいと言う作品ではないが、金銭的にも難しいのは事実だ。海外でも人気のある川内倫子だから、エディションがない作品ではあるが100万円と言うのは、もしかしたら、お買い得なのかもしれない。
日本橋三越を出て、陽気も良かったので、ぶらぶら歩いていると日本橋桜通りまで出てきた。その通りでラグビーのイベントをしてから、もう5年ぐらい経つのだろうか。桜はまだ満開で、ビルの窓に反射した光が美しかった。