塩と高血圧の関係は明確に証明されている。しかし、分かっていても、血圧を下げるために塩を減らすのは難しい。自分の味覚も変えられないし、外食をする際には塩の量をコントロールすることは難しい。
高血圧と診断されてから、自宅で食べるものはかなり薄味になった。だから、会食をすると塩辛いと感じることも多い。昨年リスボンでミシュランの三つ星のレストランに行った。ここの料理は非常に凝ったものであったが、塩辛いのに閉口した。これはある意味で、高血圧を考えたときには自分の味覚の改革に成功したとも言える。
塩分を多少でも減らすと、高血圧に効果があると言う記事を読んだ。2010年にスタンフォード大学が行った研究によると、1日に350ミリグラムの使用を減らしただけで、血圧を1.25しか下げないのにもかかわらず、数多くの脳卒中や心臓病の発生を減らしたと言う。血圧の1.25と言えば、1%程度に過ぎないが、それでも健康に対する影響は効果はあると言うことだ。しかも350ミリグラムの塩分は、たった0.35グラムで、ティースプーンの6分の1の量に過ぎない。
中国で行われた新しい研究でも、減塩の効果が証明されている。この研究は、中国で脳卒中を起こす可能性が高い20,000人以上を対象にして行われた。研究では、塩に含まれる塩化ナトリウムの30%を塩化カリウムで置き換えた低ナトリウム塩を使用した。結果は、脳卒中や心臓病につながる心血管の病気の発生を大幅に抑えたと言う。
初めて知ったが、塩が悪いのではなく、塩に含まれている塩化ナトリウムが体に悪いと言うことだ。
読んだ記事の中で驚いた部分は、人間の体は低い塩分で進化してきたことだ。その量はと言うと200から600ミリグラムだったと言う。このような低い塩分で進化してきたため、体はむしろ塩分を体内に留め、カリウムを排出するような仕組みになっている。だから、体が対応できないような多量の塩分は数多くの健康上の問題を引き起こす。必要な量が1グラムに満たないのに、それ以上を摂っているから当たり前だ。
日本食は体に良いとされているが、塩分だけが問題だ。日本人の20歳以上の男性の塩分摂取量は1日10グラムに達していると言う。これは先の人間の体がデザインされている塩分量の15倍にあたる。もう少し、減塩を行う認知活動を行うべきだろう。国民健康保険の維持のためにも、減塩で病気を防ぐのは必要だ。
低ナトリウム塩は、一般的にどこでも手に入る。高血圧の人はそれを使うのが良いかもしれない。例えば、味の素の「やさしお」は、中国の実験で使われた塩化ナトリウムの30%を塩化カリウム置き換えられたものよりも、さらに塩化ナトリウムが少なく、50%が塩化カリウムに置き換えられている。このような塩は、漬物などの保存用には使用できないと言うことだが、日常的に使うのであれば、低ナトリウム塩が良いだろう。
幸いにも自分の血圧は、高血圧と診断されてからのこの10年で、減塩に努め、ウォーキングなどの運動も継続して行っているために、正常範囲まで下がっている。ただ今後また同じ状況にならないために、塩分については気をつけたいと思う。そのためにとりあえず、調べた結果、塩事業センターの「食塩減塩タイプ」を購入した。この塩にはにがりが混じっているのでミネラル分も多いのではと考えたからだ。