「Pegasus」と「Phantom」

by Shogo

最強のスパイウェアとして話題になったイスラエルの「Pegasus」をFBIが所有して、配備を検討していたということで話題になっている。

iPhoneやAndroidのスマホを解読できる、最強のスパイウェアとして「Pegasus」は昨年話題になった。イスラエルのNSOグループ社が開発したスパイウエアは、世界のいくつかの国の情報機関や警察組織で実査に使用されてきている。

メキシコでは、捜査当局が「Pegasus」を使って麻薬王を逮捕したし、ヨーロッパの捜査当局は、大きな児童虐待組織を摘発することにも使用された。このように犯罪対策で使われたケースもあるが、いくつかの国では反体制指導者の監視に使われてきている。また、サウジアラビアは、殺されたワシントン・ポストのコラムニスト、ジャマル・カショギの関係者に対して使用したと言われる。

強力な武器となる、このサイバースパイウェアを、イスラエル政府は国の戦略商品として、相手を考慮した上でイスラエルの国益にかなう場合には、いかがわしい相手にも販売してきたようだ。具体的には、ポーランド、ハンガリー、インドの極右指導者に「Pegasus」の使用許可してきていた。

優れた道具は使い方によって善にも悪にもなる。犯罪者やテロリストを捕まえるために、そのコミュケーションの内容を盗聴したり、位置情報を把握する事は許される場合もある。しかしながら、そのようなプライバシーの侵害を行うためには、司法の許可が必要であろう。しかしながら、「Pegasus」の場合には、司法当局だけでなく、イスラエル政府の判断で、独裁者や極右指導者にまで販売されてきた。

今回、問題になっているのはそのようなスパイウェアをFBIが購入してテストを行っていたことだ。アメリカ国内では、FBIが国内の監視目的で「Pegasus」の使用を検討したことをについて問題視されている。さらに、「Pegasus」にはより新しい製品として「Phantom」と言う名前のスパイウェアもあると言うことだ。こちらについてもFBIはアメリカ国内に配備する計画の議論を行った上で最終的には配備を見送っているということだ。

今までも、テレビや映画でも見るように、判事の許可を得て電話やインターネットの盗聴を行う事は行われているようだ。その意味で、スマホをハッキングすることは、犯罪やテロの対策としては許される場合もあり得る。

ただ「Pegasus」にしても「Phantom」にしても、スマホをハッキングするのは、今までの電話の通話やインターネットのコミュニケーションを盗聴する事は意味が違っている。スマホはコンピューターであり、そのコンピューターを使って様々なことを行っている。それらの中には銀行口座へアクセスして、その資金を送金することなども含まれる。「Pegasus」や「Phantom」はやろうと思えばそのような事はできるのであろうから、その危険性は計り知れない。だから、FBIも配備を見送ったのではないだろうか。あまりにも危険ということだ。

このようなスパイウェアはサイバー兵器であり、イスラエル政府が国益と言う観点から、相手に恩を得る形で、誰にでも販売してきている。つまり、サイバー兵器が、イスラエル政府が認めれば誰にでも使うことができるのだ。現時点では、すでに「Pegasus」や「Phantom」へ対応済みになっていると思われるが安心はできない。

このような状況考えると、AppleとGoogleにはiOSとAndroidのOSのセキュリティーをより強固にして、スパイウェアにつけ入れられないようにしてほしいと願うしかない。だが、複雑なソフトウェアはどこかに穴があり、スパイウェア開発者はそれを常に見つけ出すものだろう。そのような「いたちごっこ」が続いていくので、できる事は常に新しいOSにアップデートするしかない。それでもアップデートとのタイムラグがあるだろうから、それも完璧ではない。そうなると、一切スマホを使わないと言う判断をするかだ。

You may also like

1 comment

AIのリスク – Marginal World Catalogue 2023-07-20 - 11:35 AM

[…] 「Pegasus」と「Phantom」 0 FacebookTwitterPinterestEmail […]

Reply

Leave a Comment

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください