「地の果ての夢、タンジール―ボウルズと異境の文学者たち」

by Shogo

気になったニュースは、原発よりビンラディンのことだ。アメリカ大統領がビンラディン殺害を誇らしげに発表したことに驚いたとともに憤った。9/11を経験したアメリカといえど許されない。

CIAなども、ずいぶん昔から要人の暗殺などは、表向き禁止されていたはずだ。今回について、逮捕には犠牲者が出る可能性や逃亡のリスクもあるので、殺害が最初から目的だったようだ。それで良いのだろうか。逮捕して組織の概要や9/11の詳細などを尋問して、今後のテロ対策に役立てるのが作戦的にも有効なような気がするが、どうなのだろう。むしろ復讐を喜々と発表するオバマ大統領に、対外強硬のマッチョと見られていないオバマ大統領の選挙対策に見えて悲しくなる。

気になったもう一つのニュースは、渋谷の岡本太郎の壁画「明日の神話」へのいたずらのこと。画を描いたベニヤ板を張り付けたということだが、これはもし本人が生きていたら褒めたと思われる出来映え。壁画は原水爆実験への反対のために描かれたものだから、現在の状況を考えると本人が書き足したとしてもおかしくない。これをいたずらとして捜査するのは間違っている。しゃれとして、笑っておしまいにできないのだろうか。本気で捜査しないことを祈る。

「地の果ての夢、タンジール」を読了。前から読みたいと思っていたが絶版のために手に入らなかったが、先日、図書館で探したら見つかった。モロッコのタンジールには40年代から50年代にかけて多くの文学者が移住して作品を書いたことが知られている。この本を読むと物価の安さや麻薬の入手の容易さなどの理由があったようだ。途中からはポール・ボウルズやウィリアム・バロウズが住んでいたこともあって人が集まったということもあるようだ。

読んでいると様々な著名人が登場してタンジールが戦後の一時期には有名な場所だったことが分かる。 ボウルズやバロウズだけではなく、カポーティ、ケルアック、ソンタグなど著名な文学者のオンパレードだ。

タンジールは、フェニキア人の時代から国際都市だった。一度は訪れてみたい場所だ。できれば、スペインから船に乗って行くのが理想的だ。

 ボウルズの「シェルタリング・スカイ」もバロウズの「裸のランチ」も映画になっているが、「裸のランチ」は原作を読んでいないので何とも言えないが、映画と原作は違うものだ。「シェルタリング・スカイ」には、まだ有名になる前のマルコビッチが出ていて、監督はベルトルッチ。ちなみに音楽は「ラストエンペラー」と同じく坂本龍一。これは、当時も話題になった。だが、映画としてではなく、「シェルタリング・スカイ」としては少し疑問。目的もオーディエンスも違うから当然と言えば当然。

ともかく読もうと思っていた本が読めて良かったということにしておこう。今日は曇り。前半が出かけて過ごしたのでこれからは引きこもり予定。連休に出かけても良いことはない。少しプリントでもしてみるか。

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