村の中を自由に歩き回って写真を撮った後で、最初の広場に集合。ガイドが電話をかけて村の少女を呼んだ。たった今、普段着の上に慌てて民族衣装を羽織りましたという感じで少女が広場に現れる。何もない村で多少のエンターテイメントが必要というガイドの判断で、いつも頼んで出てきてもらうのだろうが、これは不必要。なぜなら何もない村が普通の姿をしているのを見ることができて十分楽しんだからだ。とは言え、民族衣装の10代の少女も可愛かった。
久しぶりの予定のない週末で、先日50本分のコンタクトシートを作ったのでプリントをしようかとも思ったのだがちょっと疲れていることもあり運動がてら、中野の冬青社のギャラリーに写真を見に出かけた。ギャラリーには他に客もいず、お茶をいただいて作家の方と一時間も話をすることができた。
オサム・ジェームス中川さんの作品「Banta」は昨年ニコンサロンで見たことがあったのだが、サイズと言い緻密さといい圧倒される作品だ。 制作の過程も今回伺ったのだが、すごい大変な作業を経て、あの迫力がでるようだ。
今回の「Remeins」は広島から沖縄を経て南太平洋に広がる第二次世界大戦の傷跡、 「Remeins」を集めた作品だ。戦車や飛行機の残骸や遺骨、米軍基地。それらが非常に穏やかな色のプリントに定着している。中にユリの花の写真の緻密さが感じが良かったので、伺うとRolleiにモノクロフィルムで撮ったものを着色したものだろうだ。大変美しく感じの良いカラーで着色されたものには見えなかった。
今回の作品を沖縄と基地の問題が争点になっている今、見ると、解決されないで引きずってきた問題が数多くあることが分かってくる。遠い沖縄にすべてを押しつけて、普段は過去の 「Remeins」を見ないようにしている私のようなものにも時間と時間だけでは解決できない過去の傷跡を見せてくれる。多くの人の血がしみ込んだそれらの 「Remeins」を私たちは忘れてはならないし、解決すべき問題として考えるべきだろう。
氏の作品の他のシリーズも見ていただき解説もしていただいたが、これからもう少し中川さんの見ていきたいと思った。ギャラリーを出てフジヤによってカメラでも見ようかと思ったが行けば欲しいものを見つけてしまいそうなので炎天下の道を汗をかきながら家まで戻った。