天安門
北京のシンボル
私に限って言えば北京のシンボルといえば天安門である。故宮(紫禁城)は外からよく見えないし
余りにも広大なのでシンボル的なランドマークが明確でない。天安門は故宮の一部であるし、
大通りからもよく見えるというか、大通りに面している。また長い中国の歴史でも、CNNを通じて
放送された天安門広場の民主化運動とその結果は生々しく記憶に残っている。私がアメリカの
大学に行ったのは、あの事件のちょうど一週間後だった。誰もがあの事件のことを語った。
多くのアメリカ人にとって中国と日本の関係(政治的あるいは地理的)が理解できていないことも
原因であるが、何よりも世界を震撼させた事件だった。
シンボルのその後
天安門事件は世界にも大きな波紋を呼んだが、中国の開放・改革を進める人々にとっても
大きな事件であった。一つ間違えば反動が起きたはずだし、その直後の東欧・ソ連の政権の
崩壊と同じ道をたどった可能性もあったかもしれない。しかし鄧小平などを始めとする指導者は
その事件を乗り切っただけでなく、数年後には解放・改革を再開し、現在の中国を築いたのである。
8月8日
オリンピックを1年後に控え、この8月8日には天安門広場から1年前イベントの式典が世界中継
されるという。レッドカーペットがひかれ、世界各国の代表者が列席するはずだ。天安門が
平和の祭典のシンボルとして記憶されるようになるかもしれない。あの事件から18年後、
今度は中国は世界の一員としてオリンピックを開催することをメッセージする。国の政策が
どうであれ、まだまだ社会全体とは言えず、斑な成功であるかも知れないが、経済的に豊かに
なった国民にとって18年前の事件はどのように記憶され、理解されているのだろうか。今度、
誰かに聞いてみよう。