不条理劇

by Shogo

歩いていてハロルド・ピンター Harold Pinterの劇のポスターを見かけた。ずいぶん長い間忘れていたというか、仕事のためにそんな余裕がなかったためもあるが、久しぶりに名前を聞いたのは、今世紀に入ってノーベル文学賞を受賞したというニュースだった。それもずいぶん前のことだ。

なんとなく懐かしくてネットで調べてみたら「The Hot House」という劇が上演中だった。ネットで予約して週末に見に行ったのだが、ピンターのこの劇は今までに読んだことがなかった。たぶん、だから楽しめた。特に不条理な展開ということでもなく、非人間的な、全体主義的な管理社会を風刺しているということで展開がまっとうでやや拍子抜けな感じはした。

昔といっても大昔の私の若いころは不条理劇が流行だった。ピンターからベケットまで読んだし、そのころ好きだった安部公房のいくつかの小説や多くの劇は不条理劇だった。安部公房は安部公房スタジオという劇団を主宰していて、その事務所は公園通りの山手教会の地下、ジャンジャンの反対側にあった。チケットの受け取りとかに何度か行った。当時はチケットぴあとかネットでチケットを買うという時代ではなかったのだ。

劇場は大抵、西武系で渋谷のパルコ劇場か池袋の西武劇場だった。いつの頃から行かなくなったのか、安部公房が急死して活動が停止したからか忘れた。就職した後のは行きたくても忙しくていけなかったたかたかもしれない。

それはさておき、 Harold PinterのThe Hot Houseを見に行った劇場の Trafalgar Studiosはトラファルガー広場のすぐ近く。小さな劇場でいい雰囲気だった。驚いたのはステージが一番低い場所にあり、その後ろにも20席ほどの座席があった。それからもうひとつ驚いたのは、テレビで見たMad Dogというドラマに出ていた役者が主要人物で出ていたこと。そのドラマももうすぐ新シリーズのMad Dog3が放送されるようでポスターをどこかで見かけた。

先にも書いたように不条理劇を期待して見に行ったのに、やや型どおりの管理社会批判的な内容だったので、残念な感じだ。というかそういうものはもう見あきたということなのか。安部公房の「友達」とか見てみたくなった。久しぶりに実家から安部公房全集を持ってきて読もうかと思う。

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