地上波のテレビを全然見ないのだが、CATVは見ている。最近のお気に入りはAXN Mysteryでやっている”White Collar”という番組。ニールという詐欺師が刑務所に収監中にFBIと契約してピーターというFBI捜査官に協力してホワイトカラー犯罪の捜査を行うお話。ニールがハンサムでかっこいいのだが、それ以上に暴力が嫌いで大学は出ていないが教養があって絵画や彫刻の偽造の腕が天才的という設定のニールが良いのだ。
舞台がNYというのは個人的には得点が高くなる。アメリカではUSAネットワークの制作でUSAネットワークの放送のようだが、USAもちゃんとした番組を作るようになったと感慨深い。前は変なのしかなかった気がする。
このニールの詐欺師時代の仲間がモジーという人物なのだが、これがコミックリリーフというかトリックスターというか登場人物の中ではお話の味付けになっている役柄だ。この彼はニールの友人として捜査に非公式に協力したりする。でも彼は根っからの裏街道人生なので当局とは距離を置いているということになっている。
そのモジーが撃たれて入院をした時に、手術から目覚めて撃たれたことより入院していることで、「システムに取り込まれた」と驚くシーンがある。撃たれたことよりシステムに取り込まれたことを怖がっているのだ。その時にニールがモジーの手首の名前を指差していう、「名前は、イバン・ブリミンスIvan Bliminseだよ」 それを聞いてモジーが安堵する。確か「Invisible Manか、いい名だね」とか言った気がする。
Ivan Bliminseは、Invisible Manのアナグラムの名前だったのだ。大体、ニールもモジーの本名を知っているのだろうか。アナグラムというと有名な例はいくつもあるのだろうが、思い出すのは、ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』などを翻訳していた黒丸尚だ。この名前は、電通のコピーライターだった佐久間弘さんの名前をアナグラムで作ったものだ。
電脳空間はサイバースペースの翻訳で、電脳は黒丸尚の造語だと思っていたが、中国語を習ってコンピュータのことだと知った。それにしても、平凡な名前をサイバーパンクの翻訳者の名前にふさわしいものに変えたアナグラムの切れ味はずっと印象に残っている。
一時の暑さからやや涼しくなって散歩には良い季節だ。さすがに日中は暑いがまだ耐えられる範囲だ。