NetflixとAmazon Prime Video があれば、大抵のものは見られるし、緊急事態宣言で時間はたっぷりある。10年近く前に見た「Extremely Loud & Incredibly Close 」をまた見た。公開時は2001年のニューヨークのあのテロから10年経った時だった。そして、それから更に10年。年をとるはずだ。9/11の夜は、はっきり覚えている。仕事で重要な出来事があった日でもあるからだ。夜と書いたが、現地のニューヨークでは9月11日の朝、東京では夜だった。
映画の中で、9/11の時にワールドトレードセンターにいて死んだトム・ハンクス扮する父親が残した鍵から、亡くした父を探すかのようにニューヨークのたくさんの人を,、少年が訪ねてあるく。
その鍵のミステリーもうまく解決して気持ちが良いのだが、それよりもあの悲惨な事件を経験した町と家族のストーリーは、つらくもありまた傷ついた人たちの触れ合いは心にしみるように豊かな気持ちになれる。9/11のお話と思っていたが、9/11は始まりで、傷ついた家族、息子と母、死んだ父の両親の家族の再生の話だ。ドレスデン生まれの祖父の話と2つのストーリーからなりたつ小説を、祖父の話を省略した脚本なので小説も読みたいと思っている。
トム・ハンクスが自分の古いものを見せる場面があり、その中にカメラがあった。ドレスデン生まれの彼の父、少年の祖父からもらったという説明があって、ドレスデンのカメラのエクザクタがストーリーに登場する。このカメラを使って出会った人の写真を少年は撮っていくのだが、どうでもいいことだが、カメラを見せるだけで使い方の説明をするシーンがないので、このフルマニュアルのカメラを9歳の少年が使うのは結構大変だと思うが、それは大目に見ましょう。こんないい話をそんなことでつっこみを入れるからカメラ好きはよくないな。
その登場するエクザクタはウエストレベルファインダーがついていて、ペンタプリズムがないモデルで、確か昔のニコンのようにファインダーが取り換えができたような気もするが、写真のようにウエストレベルで使うのではなく、スポーツファインダーで使っていた。Ihageeイハゲーは少年の指で隠れているが、戦前から続くドレスデンのカメラメーカーでエクザキタの原型は30年代に造られたそうだ。
多分、祖父がもっと登場するのなら、ドレスデン生まれの祖父とカメラの関係などが語られるのだろうが、カメラについての説明は全くなかった。カメラファンとしては先の一点と合わせてやや不満。
映画の冒頭で、9/11のときの有名な写真「フォーリング・マン」が使われる。あの写真は、ワールドトレードセンターの崩壊の写真とともに有名だ。APのカメラマンが撮影し、様々なメディアで使われた。映画の中では、順序が逆に使われて、少年の時間を巻き戻したいという思いが表現されているということだ。
悲しい出来事の中で、父と子のつながりが消えないストーリーを見て、悲しみより希望を見る映画だ。それと、冒頭の「フォーリング・マン」と写真が重要な役割を果たす映画で、写真の映画とも言うのは言い過ぎか。